杜本神社にも楠木正成の首塚があるがなぜ・・・ ~ 羽曳野市 アクセス~

杜本神社参道
南河内と言えば楠木正成、楠木正成といえば南河内(?)と言うぐらい南河内には楠木正成ゆかりの地が多くあります。

大阪河内長野市にある観心寺は楠木正成の菩提寺であり首塚があることで有名ですが、実は歓心寺以外にも首塚のある場所が存在します。それは大阪府羽曳野市にある杜本神社です。

歓心寺に首塚があるのに杜本神社にも首塚があるのはどういうことか?今回は杜本神社を紹介したいと思います。

杜本神社とは

杜本神社の創建はいつなのかは分かっていませんが、平安時代初期にはすでにあったようです。社伝によると崇神天皇の時代に伊波別命という人物がこの地で先祖の経津主神を祀ったことが始まりと言われています。その通りだと2000年以上も歴史があることになります。

杜本神社 拝殿
杜本神社 拝殿

現在の祭神は経津主神とその奥さんである経津主姫神ですが、平安時代初期は百済永継とその一族である飛鳥戸氏を祀っていました。百済永継は藤原北家の当主藤原内麻呂の妻となり藤原冬嗣をもうけます。冬嗣は嵯峨天皇の信任を得て急速に出世し、さらに娘を仁明天皇に嫁がせ権力を増強させます。

冬嗣の母とその一族の飛鳥戸氏を祀っていた杜本神社は冬嗣の影響もあり、式内社といわれる神社の格付けでは高位となる「名神大社」の格を得ます。名神大社の格を持つ神社は全国に約200社しか存在せず、河内国においては4社しかありません。杜本神社はその4社のうちの1社になります。

二の鳥居
二の鳥居に掛かる式内社の額

杜本神社には藤原冬嗣の曾祖父の兄で藤原北家の当主だった藤原永手の墓もあります。これをみても藤原家と杜本神社が深い関係にあった事がわかります。

藤原永手の墓
藤原永手の墓

その後、時代は進み戦国時代。1574~1575年にかけて行われた織田信長の高屋城攻めにより社殿は消失。信長が陣取った場所が駒ヶ谷山で杜本神社の目と鼻の先という不幸。さらに豊臣秀吉により社領を没収されるという踏んだり蹴ったりな事態になり杜本神社は衰退してしまいます。

不思議な事なんですが、千早赤阪村にある建水分神社は、織田信長に社領を没収されたあとは、豊臣秀吉によって社領を返還されてますが、杜本神社の場合は荒らされた上に社領を没収されてます。いったい、どういう基準で没収したり返還したりしているのでしょうね?

高屋城の戦い | 織田信長が羽曳野にやって来た!〜羽曳野市 アクセス〜

江戸時代に入り金剛輪寺の住職、覚峰により再建されて現在に至ります。(その金剛輪寺は明治時代の神仏分離により廃寺に・・・)

杜本神社内にある金剛輪寺跡
金剛輪寺跡

大楠公首塚の謎

杜本神社には楠木正成が湊川で自害したあと、敵の目を逃れるために御首を密かに隠したと言われる「大楠公首塚」というものが存在します。

大楠公首塚と南木神社
大楠公首塚と南木神社

1336年に兵庫県神戸市兵庫区にある湊川で、九州から上洛を目指す足利尊氏軍を新田義貞と楠木正成軍が迎え撃ちます。激戦の末に新田義貞は敗走、楠木正成は敗北を悟り自害します。

湊川神社 楠木正成像
湊川神社 楠木正成像

戦いのあと、正成の首は京都の六条河原にさらされますが、それを哀れんだ足利尊氏によって御首は家族に返還されたと言われています。

この流れで行くと、なぜ杜本神社に敵の目から逃れてわざわざ首を隠したのかなという疑問があります。杜本神社の位置は羽曳野市にあります。仮に尊氏の部下が命令に反して正成の首を取り戻そうとしても、羽曳野市までくれば楠木家のテリトリーでしょうから、ここまで追ってくるかなという気もします。もしかしたら、尊氏の家臣ではなく野盗の群れとかそういう事ならあるかもしれませんが。

これは想像ですが尊氏が御首を返す際、正成のものだけではなく一緒に自害した身内や部下の御首も返還した可能性もあります。その中に羽曳野にゆかりのあるものが杜本神社に祀られ、時代が過ぎていくうちにあれは楠木正成の首塚だったということになったのかもしれません。

実際のところはもうわかりませんが、一つの情報を色々と膨らませて想像できるのが歴史の面白いところかもしれませんね。

まとめ

杜本神社には他にも、獣面人身を刻んだ一対の珍しい石像「隼人石」があります。隼人石は本殿横にあり確認できませんが、これも誰が何のために作ったのか詳細が分からないという不思議な石です。

2000年(?)の長い歴史の中で名神大社という高い格を得て繁栄し、信長の高屋城攻めで焼失、その後江戸時代に再建したという波乱万丈な歴史を持つ杜本神社。神社内の建造物や史跡にある物語に思いをはせるのも中々おもしろいですね。

杜本神社データ


住 所:大阪府羽曳野市駒ケ谷64
電 話:072-956-7887
駐車場:あり
アクセス:近鉄南大阪線「駒ヶ谷駅」より徒歩7分
祭 神: 経津主命(ふつぬしのかみ)
経津主姫命(ふつぬしひめのかみ)
旧社格: 村社
式内社: 名神大社