飛鳥戸神社 | 百済王族を祭った神社 となりの鎮守様シリーズVol.3~羽曳野市 アクセス~

飛鳥戸神社
昔から地域を守り続ける神社を紹介する「となりの鎮守様」シリーズ。第3回は羽曳野市にある「飛鳥戸神社」です。飛鳥戸神社は平安時代に編纂された延喜式神名帳にも記載されている由緒ある神社。




元々は羽曳野市飛鳥周辺を拠点としていた飛鳥戸氏が、先祖である「昆支王」を祭っていました。

飛鳥戸氏は一般的にあまり知られていませんが、大和朝廷と深いつながりを持つ一族です。今回は飛鳥戸神社と飛鳥戸氏が大和朝廷にどう関わったかについて紹介いたします。

飛鳥戸氏とは?

飛鳥戸氏の祖である昆支王は百済第21代王「蓋鹵王」の子もしくは弟と言われている人物です。

蓋鹵王の治める時代の百済は、高句麗と激しい勢力争いを繰り広げていました。百済は倭と同盟関係にあり、蓋鹵王は更なる支援を求めて昆支王を倭へ遣わされます。

昆支王が倭へ赴いたのち、百済は高句麗の侵攻や政変などで蓋鹵王の系統が途絶えていました。この時代の天皇である雄略天皇は昆支王の子達から1人を選び、500の兵と共に百済へ送り王位につけたと言われています。

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昆支王も百済へ戻ったようですが、残った昆支王の子らは「飛鳥戸氏」として倭へ定住します。「飛鳥戸神社」は飛鳥戸氏の祖である「昆支王」を祭る神社として飛鳥戸氏により創建されたとされています。

飛鳥戸神社

その後の飛鳥戸氏

飛鳥戸氏は百済系渡来人の筆頭として、台頭する蘇我氏と関係を深めていました。羽曳野市飛鳥周辺には「飛鳥千塚古墳群」と呼ばれる100を超える古墳群が広がっています。この古墳群は飛鳥戸氏と関係があるのではないかと言われ、飛鳥戸氏繁栄の一端をうかがうことができます。

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蘇我氏滅亡後、藤原氏が勢力を拡大する中で飛鳥戸氏は下級貴族として生き残ります。そして第50代「桓武天皇」の時代、飛鳥戸氏に再び光が差し込みます。

飛鳥戸氏である飛鳥部奈止麻呂の娘が藤原北家の藤原内麻呂に嫁ぎ「藤原真夏」「藤原冬嗣」と言う2人の子をもうけます。その後、飛鳥部奈止麻呂の娘は桓武天皇の後宮女官となりますが、その際に桓武天皇の寵愛を受け皇子をもうける事に。

その寵愛の影響か、飛鳥部氏は「百済」という氏姓を賜り、飛鳥部奈止麻呂の娘は「百済永継」と呼ばれました。




しかし桓武天皇との間に生まれた皇子は百済永継の身分が低かったことから皇太子としては認められず、百済永継も妃として認められる事はなかったようです。

一方、藤原内麻呂との間にできた藤原真夏は順調に出世を遂げますが、平城上皇に関わる「薬子の変」に連座して一時失脚してしまいます。

「薬子の変」には松原市にゆかりのある阿保親王も巻き込まれるなど、調停において大事件でした。その為、藤原北家は藤原冬嗣が継ぎ、嵯峨天皇からの厚い信頼を得て藤原北家の礎を築きます。

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現在の飛鳥戸神社

飛鳥戸神社
拝殿

現在の飛鳥戸神社は住宅街に囲まれた、非常にコンパクトなサイズに収まった神社になっています。
案内板には

「平安時代初期には、子孫にあたる百済宿祢や御春朝臣たちの働きかけにより、貞観元年(859年)8月に無位から正4位下を授けられ、翌2年10月に「官社」に列し、元慶4年(880年〕8月には春秋の祭礼費として神領田1町が支給されている。」

と書かれており、百済永継が亡くなった後も栄えていたようです。延喜式神名帳において「式内社(名神大)」という式内社の中でも格の高い神社だった事からもそれがうかがえます。

飛鳥戸氏がこの地で影響力を失った後は牛頭天王が祭られていました。しかし、明治に入ると素戔嗚尊を祭神とし、旧社格における「村社」に列します。

飛鳥戸神社
本殿

明治41年には周辺の神社が壺井八幡宮に合祀されてしまいますが、昭和27年に再び独立し現在に至ります。近年、整備されたようで、本殿付近は真新しく奇麗になっていました。地元にとってなくてはならない神社であると感じさせます。

アクセス

最寄り駅は近鉄南大阪線「上ノ太子駅」になります。竹内街道沿いに西へ向かい、北上すると石造りの鳥居が見えてきます。そこから更に北へ向かうと「飛鳥戸神社」が見えてきます。
飛鳥戸神社
飛鳥戸神社を更に北へ向かうと、飛鳥戸氏と繋がりが考えられている観音塚古墳があります。観音塚古墳からは飛鳥が一望できる素晴らしい景色が広がっているので、こちらも寄っておきたいところです。

飛鳥戸神社、観音塚古墳共に周辺には駐車スペースがありません。上ノ太子駅近くにパーキングが数カ所あるので、そこから徒歩で行くのが良いと思います。



飛鳥戸神社データ

住 所:大阪府羽曳野市飛鳥1023
祭 神:素盞嗚命
旧社格:村社
式内社:式内社(名神大)