世界文化遺産へ登録勧告された百舌鳥古市古墳群とは?~アクセス 読み方~

2019年5月13日、世界遺産委員会の諮問機関「ICOMOS」より「百舌鳥古市古墳群(もずふるいちこふんぐん)」世界文化遺産登録勧告が遂にでました。



「百舌鳥古市古墳群」世界文化遺産登録は、2006年に大阪府・堺市・羽曳野市・藤井寺市が共同で登録に向けてスタート。国との協議を重ねて、2017年に「百舌鳥古市古墳群」を世界文化遺産の推薦候補に決定。

2018年にはユネスコへ推薦書を提出。2019年「ICOMOS」の現地審査の結果、世界文化遺産への登録が勧告され、遂に13年の努力が実りました。

今回登録されると「百舌鳥古市古墳群」は日本で23番目の世界遺産となります。

百舌鳥古市古墳群とは?

百舌鳥古墳群少し分かりにくいのですが、「百舌鳥古市古墳群」は一つの古墳群はではなく、「百舌鳥古墳群」「古市古墳群」の2つの古墳群の総称になります。

百舌鳥古墳群は大阪府堺市内4km四方に広がる古墳群。古市古墳群は藤井寺市、羽曳野市を中心とした4km四方に広がる古墳群です。
百舌鳥古市古墳群 世界遺産登録この2つの古墳群は4世紀末から6世紀前半に築造された点で共通しています。この時代は古墳時代全盛期で、古墳の巨大化、付属墳である「陪塚」の増加、鉄器の副葬品などが特徴としてあります。

では「百舌鳥古墳群」と「古市古墳群」はどのような古墳なのでしょうか?

古市古墳群とは

岡ミサンザイ古墳(仲哀天皇陵)
岡ミサンザイ古墳(仲哀天皇陵)

元々は120基以上存在していましたが、現在は約80基ほど現存。古市古墳群は全国トップクラスの規模と数を誇る古墳群の一つです。

80基の古墳のうち、世界遺産に登録された古墳は26基。その中で、最も注目される古墳は、仁徳天皇の父である応神天皇の御陵「誉田御廟山古墳」

誉田御廟山古墳(応神天皇陵)
誉田御廟山古墳(応神天皇陵)

羽曳野市にある「誉田御廟山古墳」は全長425mを誇る巨大な前方後円墳で、全国2位の規模。体積では全国1位とも言われています。

また、応神天皇の后妃「仲津姫」の御陵とされる藤井寺市の「仲津山古墳」も全長290mで全国9位。

仲津姫命陵(仲津山古墳)
仲津姫命陵(仲津山古墳)

他にも、古墳時代の英雄、日本武尊の御陵とされている「白鳥陵古墳」も美しい古墳として見所の一つです。

白鳥陵古墳
白鳥陵古墳(日本武尊陵)

では、古市古墳群はどの様な意図でこの地に築かれたのか?

海の玄関口である難波津から飛鳥へ向かうには、日本最古の官道である「丹比道(竹内街道)」を利用します。




古市古墳群はこの「丹比道(竹内街道)」沿いに多く築かれています。諸国から都に向かう人々に多くの巨大古墳を見せ、大王の権力を示そうとしたと考えられています。

世界遺産登録 古市古墳群一覧

No 古墳名称 墳丘の形 墳丘の長さ
1 津堂城山古墳 前方後円墳 210m
2 岡ミサンザイ古墳(仲哀天皇陵) 前方後円墳 245m
3 鉢塚古墳 前方後円墳 60m
4 市ノ山古墳(允恭天皇陵) 前方後円墳 230m
5 仲津山古墳(仲津姫命陵) 前方後円墳 290m
6 鍋塚古墳 方墳 63m
7 助太山古墳 方墳 36m
8 中山塚古墳 方墳 50m
9 八島塚古墳 方墳 50m
10 古室山古墳 前方後円墳 150m
11 大鳥塚古墳 前方後円墳 110m
12 誉田御廟山古墳(応神天皇陵) 前方後円墳 425m
13 誉田丸山古墳 円墳 50m
14 二ツ塚古墳 前方後円墳 110m
15 東馬塚古墳 方墳 23m
16 栗塚古墳 方墳 43m
17 東山古墳 方墳 57m
18 はざみ山古墳 前方後円墳 103m
19 墓山古墳 前方後円墳 225m
20 野中古墳 方墳 37m
21 向墓山古墳 方墳 68m
22 西馬塚古墳 方墳 45m
23 浄元寺山古墳 方墳 67m
24 青山古墳 円墳 62m
25 峯ヶ塚古墳 前方後円墳 96m
26 白鳥陵古墳(日本武尊陵) 前方後円墳 200m
アクセス

古市古墳群の最寄り駅は、近鉄南大阪線「藤井寺駅」「土師ノ里駅」「道明寺駅」「古市駅」になります。古市古墳群の周辺には駐車スペースが少ないので、公共交通機関を利用するか、マイカーなら駅周辺の駐車場に停めるのがオススメです。

古市古墳群は市街地に広く点在しています。歩いて回るのもいいですが、「土師ノ里駅」及び「古市駅」に有料のレンタルサイクルもあるので、活用すれば効率よく古墳巡りが可能です。

百舌鳥古墳群とは

上石津ミサンザイ古墳(履中天皇陵)
上石津ミサンザイ古墳(履中天皇陵)

百舌鳥古墳群は堺市の堺区、北区、西区に広がる古墳群。かつて、百舌鳥古墳群には100基を超える古墳が存在していましたが、戦後の開発により現在44基まで減少しています。

世界遺産登録されたのは、現存する44基のうち23基になります。その中で最も注目されるのは、仁徳天皇の御陵とされる「大山古墳」

大山古墳(仁徳天皇陵)
大山古墳(仁徳天皇陵)

一般的に「仁徳天皇陵」の名で知られる大山古墳は、全長486mを誇る日本最大の前方後円墳。

他にも全長365mの「上石津ミサンザイ古墳(履中天皇陵)(全国3位)」、「土師ニサンザイ古墳(全国7位 or 8位)」など全国トップクラスの規模を持つ古墳を有しています。

上石津ミサンザイ古墳(履中天皇陵)
上石津ミサンザイ古墳(履中天皇陵)

何故これほど巨大な古墳が百舌鳥に築造されたのか?一説によると海から見えるように作られたのではないかと言われています。




当時は海岸線が現在よりも内陸部にありました。海から訪れた諸国の人は、海岸線にそびえる巨大古墳を見て、大王の権力を感じずにはいられなかったでしょう。

世界遺産登録 百舌鳥古墳群一覧

No 古墳名 墳丘の形 墳丘の長さ
1 田出井山古墳(反正天皇陵) 前方後円墳 148m
2 大山古墳(仁徳天皇陵) 前方後円墳 486m
3 茶山古墳 円墳 56m
4 大安寺山古墳 円墳 62m
5 永山古墳 前方後円墳 100m
6 源右衛門山古墳 円墳 34m
7 塚廻古墳 円墳 32m
8 収塚古墳 帆立貝形墳 59m
9 孫太夫山古墳 帆立貝形墳 65m
10 竜佐山古墳 帆立貝形墳 61m
11 銅亀山古墳 方墳 26m以上
12 菰山塚古墳 帆立貝形墳 33m
13 丸保山古墳 帆立貝形墳 87m
14 長塚古墳 前方後円墳 106.4m
15 旗塚古墳 帆立貝形墳 57.9m
16 銭塚古墳 帆立貝形墳 72m
17 上石津ミサンザイ古墳(履中天皇陵) 前方後円墳 365m
18 寺山南山古墳 方墳 44.8m
19 七観音古墳 円墳 32.5m
20 いたすけ古墳 前方後円墳 146m
21 善右ヱ門山古墳 方墳 28m
22 御廟山古墳 前方後円墳 203m
23 ニサンザイ古墳 前方後円墳 300m
アクセス

百舌鳥古墳群の最寄り駅はJR阪和線「百舌鳥駅」。古墳周辺には駐車スペースが少ないので、公共交通機関を利用するか、マイカーなら駅や大仙公園周辺の駐車場に停めるのがオススメです。

大仙公園
大仙公園

百舌鳥古墳群は市街地に広く点在しています。歩いて回るのもいいですが、大仙公園観光案内所に有料のレンタルサイクルのサービスもあるので、活用すれば効率よく古墳巡りが可能です。

まとめ

百舌鳥古市古墳群が築かれた時代は、未だに多くの謎に包まれています。中国の記録に残る「倭の五王」がこの時代に当たりますが、現在でも五王がどの大王(天皇)なのか定まっていません。

この時代を知る手がかりは「古事記」「日本書紀」ですが、史実と神話が入り混じっているため、どこまで真実なのか研究者の間でも意見が定まりません。また古墳の発掘も、天皇陵は宮内庁により管理されているため、研究であっても立ち入る事はできません。





ただ、「古事記」や「日本書紀」における古墳時代は神話と史実の境目にあたります。記紀には大王(天皇)達の人間味溢れるエピソードや、意外と知らなかった地名の由来などが多く書かれており、非常に興味深い書物です。

古墳だけをみると、雑木林がある小山にしか見えませんが、少し予備知識を得て古墳を見に行くと、見方も変わってくると思います。

古墳時代は謎が多く、神秘のベールに包まれていますが、それだけに想像力をかき立てます。一般的に馴染みの薄い古墳時代ですが、世界文化遺産登録を機に多くの人が古墳に興味を持ってくれるといいですね。