太子町 書評

爆撃 聖徳太子(町井登志夫) | 南河内ブックレビューvol.1

爆撃聖徳太子 (PHP文芸文庫)

南河内に関する書籍を紹介していく「南河内ブックレビュー」。第一弾は町井登志夫氏の「爆撃 聖徳太子」です。ご丁寧に「bakugeki syotoku-taishi」とローマ字読みまで付いています。なぜ第一弾にこんなキワモノぽいタイトルになってしまったのかは謎ですが、読んでしまったので紹介したいと思います。

タイトルにある「爆撃」「聖徳太子」が「いつ」「どこで」「どうのように」結びつくのか全く想像がつかない所に少しばかり狂気を感じさせます。町井登志夫氏はSF作家ですが、時代設定は近未来や宇宙でもなく日本の飛鳥時代が舞台。

登場人物も推古朝でお馴染み、聖徳太子、蘇我馬子・蝦夷親子、小野妹子達が登場。中国に誕生した「随」という大帝国を相手に聖徳太子と小野妹子が縦横無尽に暴れまわります。暴れるというのは「大活躍」を比喩的に表現したものではなく、文字通り「本当に暴れる」のがこの本の恐ろしいところです

聖徳太子といえば、冠位十二階や十七条の憲法を整備し、聡明で人徳者というのが一般的なイメージです。しかしこの聖徳太子は「自分こそはキリストの生まれ変わり」と叫びながら神出鬼没で動き回り、完全に既成の聖徳太子像を破壊しています。

そしてもう一人の主人公が、遣隋使でお馴染みの「小野妹子」。予測不能な聖徳太子に振り回されるという損な役回りを演じています。登場頻度は高く、作中の7:3ぐらいで小野妹子が活躍(苦労)します。

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史実とフィクションを織り交ぜながら、大帝国「随」に翻弄される倭と周辺国とのせめぎ合いが見所の一つ。飛鳥時代というと日本国内の話が中心になりがちですが、世界規模で話が展開するので、日本の立場がわかりやすいのも面白い切り口だと思います。

気になった所は中盤の随による高句麗遠征が盛り上がり過ぎて、終盤の展開が少し物足りなさを感じる所がありました。しかし全体的には非常に面白く、ドンドン話に引き込まれます。最後には「爆撃」がなんだったのかもちゃんと回収されます。

真面目に読んだら「なんじゃこりゃ?」という作品ですが、肩の力を抜いて読むと非常に楽しく読む事ができます。ちなみに町井登志夫氏の別の本で「諸葛孔明 対 卑弥呼」というタイトルがあるのを知ってメチャクチャ気になっているところです。

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