菅原道真を祭る天満宮には、寝そべった牛が置かれています。藤井寺市にある道明寺天満宮にも立派な牛が置かれていますが、菅原道真と牛にはどんな関係があるのか?更にはなぜ寝そべっているのか?
今回は道明寺天満宮と牛の関係について紹介します。
道明寺天満宮とは
道明寺天満宮の創建は土師氏と深い関係があると言われています。古墳時代初期、大王が亡くなると、そばに仕えていた家臣達も殉死する風習がありました。その風習に心を痛めた第11代垂仁天皇に対して野見宿禰は、埴輪を造りそれを人の身代わりにする事を考案。その功績により野見宿禰は「土師」の姓賜り、道明寺周辺に領地を得ます。
後に、土師氏はこの地に野見宿禰の先祖である「天穂日命」を祭る土師神社を創建した事が道明寺天満宮の始まりとされます。仏教伝来後には、境内に現在の道明寺の元となる土師寺も建立されます。
道明寺天満宮と菅原道真
土師氏はその後、菅原氏などいくつかの氏族を輩出。第59代宇多天皇の時代に菅原道真が頭角を現します。
宇多天皇に信任され異例の出世を遂げますが、警戒された菅原道真は藤原時平により失脚。大宰府へ左遷されてしまいます。
大宰府に左遷される際、道真は土師寺に住んでいた叔母へ立ち寄り、愛用の品を納めたと言われています。現在もその品は、国宝や重要文化財として道明寺天満宮に保管されています。
道明寺天満宮の撫で牛
撫で牛は、自分の体の悪いところを撫でたあと、撫で牛の同じ個所をなでると牛に悪い病気が移り治ると言われる風習の一つ。
一般的に神社にある神獣像は狛犬をはじめ「キリッ」とした、たたずまいが多いのですが、撫で牛はベタッと地面に座っています。
あれはダルくてへたり込んでいるわけではなく、ちゃんとした意味があります。
菅原道真は大宰府に左遷後、数年で逝去。菅原道真を埋葬するため、牛車で遺体を運んでていると、牛はある場所でへたり込んでしまいます。
いくら促しても動かない牛を見て、人々は菅原道真がここに墓を築い欲しいと考え、墓所を築きます。その場所が、後の太宰府天満宮となります。
以降、菅原道真を祭る神社は「天満宮」と呼ばれ、牛が神獣とされます。へたりこんだポーズにもちゃんとした理由があるんですね。
他にも道真が道明寺天満宮に立ち寄った際、道真を失脚させた藤原氏が送り込んだ暗殺者から、白い牛が道真を守ったという伝説もあります。
境内には撫で牛以外にも白牛の像がいくつかあり、牛と縁の深い神社であると言えます。
アクセス
近鉄南大阪線「道明寺駅」より徒歩約15分ほどの場所にあります。周辺には道明寺粉発祥の地である「蓮土山 道明寺」もあるので寄っておきたいところです。
道明寺天満宮データ
住 所:大阪府藤井寺市道明寺1-16-40
駐車場:50台
祭 神:菅原道真、天穂日命、覚寿尼
旧社格:郷社