日本武尊ゆかりの地 羽曳野市 羽曳野市の神社仏閣

白鳥神社|中々落ち着けなかった古市の氏神様【御朱印】 〜羽曳野市〜

白鳥神社

昔から地域を守り続ける神社を紹介する「となりの鎮守様」シリーズ。今回は、羽曳野市にある「白鳥神社」です。白鳥神社は、古市駅の隣に建つ歴史ある神社ですが、この場所に建つまで幾多の困難がありました。その困難とはどんなものなのか?今回は、羽曳野市古市にある「白鳥神社」を紹介します。

白鳥神社の由来

社名の「白鳥」は日本武尊の「白鳥伝説」が由来とされています。

大鳥大社にある日本武尊像
田英 [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で

日本武尊(ヤマトタケル)は、東国を平定後、大和へ戻る途中で伊吹山の神と対決。しかし逆に祟られて病に犯されてしまいます。弱った体のまま大和を目指しますが、三重にて非業の死を遂げました。

能褒野王塚古墳
三重にある日本武尊の陵
能褒野王塚古墳

三重の能褒野に陵を築き埋葬されますが、日本武尊は白鳥となり大和方面へ飛びさります。一度、奈良の御所に立ち寄った後、羽曳野市古市に留まり、天に昇ったと伝わっています。これが日本武尊の「白鳥伝説」です。

白鳥神社は元々、軽里にある伊岐谷に存在し、「伊岐宮」と呼ばれていました。一説には日本武尊の陵とされる「白鳥陵」の墳頂にあったとも言われていますが、定かではありません。

白鳥陵古墳
白鳥陵古墳

「伊岐宮」では日本武尊が祭られており、白鳥神社という名前も、日本武尊の白鳥伝説が由来と考えられています。

災難に見舞われる「伊岐宮」

その後の「伊岐宮」は幾度も災難に見舞われます。南北朝時代から戦国時代の戦火で社殿が焼失。同じ軽里にある「峯ヶ塚古墳」に小さな祠を建て再建されます。南北朝時代の南河内は南朝方の最前線として幾度も合戦が行われました。

峯ヶ塚古墳
峯ヶ塚古墳

また応仁の乱では畠山家の内紛により、古市周辺では激戦が繰り広げられていました。戦国時代に入ると、河内の支配をめぐり三好氏と織田信長が対立。古市にある高屋城では織田軍と三好軍による「高屋城の戦い」があり、周辺の神社仏閣の多くが焼失しています。白鳥神社の前身である「伊岐宮」も被害を受けずにはいられなかったようです。

1596年には慶長大地震が発生。この地震は規模が大きく、京都にある伏見城の天守閣は崩壊。京や堺でも1000人以上の死者が出たと言われています。せっかく「峯ヶ塚古墳」に再建された「伊岐宮」も慶長大地震で倒壊し、しばらくは放置されていたそうです。

寛永年間(1624-43)の末期に、現在の場所に移築し「白鳥神社」と改称。1904年(明治41年)5月11日、高屋神社を合祀して祭神に饒速日命、廣國押武金日命が加わります。

高屋神社
高屋神社

1954年(昭和29年)に、再び高屋神社は独立して旧社地にもどりますが、饒速日命、廣國押武金日命はそのまま白鳥神社で祭られています。

現在の白鳥神社

古市駅から一番近い入口。

白鳥神社


参道の途中にある看板。

白鳥神社

少し坂を登ると広めの空間があり、右側に手水舎が存在します。

白鳥神社
白鳥神社
白鳥神社

白鳥神社は、宮司さんが常駐していないようで無人の神社。誰が管理しているのでしょうか?

白鳥神社

本殿には「伊岐宮」の額が掲げられ、文字のかすれ具合から歴史を感じさせます。

白鳥神社

その横には、昭和4年に奉納された、楠木正行のエピソードに関する絵ありました。直接、白鳥神社とは関係ありませんが、近くの誉田八幡宮から楠木正行は出撃し、足利方と藤井寺合戦を展開しています。

白鳥神社

楠木正行は、天皇に尽くた忠国の英雄として讃えられていた時代背景が関係しているのかもしれません。

「勝ち守り」というお守りが売られているようですが、詳しくはTELまたはFAXと書かれています。無人の神社なので、ここでは買えないので通信販売なんでしょうか?

白鳥神社

本殿の隣にある白長大明神。

白鳥神社
白鳥神社

奥にも2社祭られていますが、祭神は不明です。

白鳥神社

実はこの白鳥神社、古墳の上に建てられている説があります。白鳥神社古墳という名前で、本殿周辺を後円部、古市駅周辺を前方部と見立てる前方後円墳とも言われています。確かに白鳥神社が建つ部分は小高く盛り上がっているので、古墳だったと言われればそんな気もしてきます。

白鳥神社

ただ、後円部周辺の調査ではいくつかの埴輪は見つかっていますが、古墳の遺構は見つかっていません。そもそも古墳ではないとも言われています。

白鳥神社

南河内の神社仏閣は数々の戦火に巻き込まれて荒廃するケースが多くあります。しかし、白鳥神社は、峯ヶ塚古墳の小さな祠から、現在の立派な社殿にグレードアップするという少しレアなケースかもしれません。

御朱印

御朱印手書き
初穂料300円

※基本的に祭礼時以外、宮司さんは常駐していません。

白鳥神社の御朱印

白鳥神社データ

神社名白鳥神社
住所大阪府羽曳野市古市1丁目1-18
祭神日本武尊、素戔嗚命、稲田姫命
合祀饒速日命、廣國押武金日命(安閑天皇)
摂社白長大明神、他2社
旧社格村社
式内社なし
祭礼1月1日 祭旦祭
2月3日 節分祭
7月11、12日 夏まつり
10月8、9日 秋まつり
10月第2土、日曜日 古市だんじり祭り
10月10日 伊勢神楽
参考資料大阪府神社名鑑

アクセスと駐車場

近鉄南大阪線「古市駅」下車すぐ。ただ、正面の参道から入る場合は、少し回り込む必要があります。白鳥神社に駐車場はりませんが、古市駅周辺にいくつかコインパーキングが存在します。

周辺スポット

・向源山 西琳寺
白鳥神社から徒歩約5分ほどの場所にあるお寺。飛鳥時代に建立されたとされる氏寺で、境内には創建時の名残を残す巨大な礎石が保存されています。

・安閑天皇陵/高屋城跡
白鳥神社から徒歩約10分の場所にある古墳。第27代天皇である安閑天皇の陵とされています。室町時代末期に、古墳は高屋城の本丸に改造されていました。

日本武尊陵/白鳥陵古墳
白鳥神社から徒歩約15分の場所にある古墳。古代の英雄である日本武尊(ヤマトタケル)の陵とされています。実際には、日本武尊の活躍時期と古墳の築造時期は異なるので被葬者は不明。


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