南河内に関する書籍を紹介する「南河内ブックレビュー」。第6弾は久世仁士さんの「古市古墳群を歩く(巨大古墳前案内)」です。
古市古墳群に関する解説書はいくつか存在しますが、古墳初心者に分かりやすいのが特徴です。
古墳本は一定の知識を持つ人を対象にした本が多い中、本書は古墳初心者にも理解しやすく書かれています。
内容的には、古市古墳群全ての古墳が一つ一つ解説されています。基礎的な情報だけではなく、意外に知らなかった古墳のエピソードも書かており、充実した内容。
そしてこの本の素晴らしい所は、現存する古墳だけではなく、消滅した古墳についても解説されている点です。
古墳というのは1つだけポツンとある訳ではなく、周辺には多くの古墳が存在している場合があります。相関関係などを知る上で、消滅した古墳の情報は意外と貴重です。こうしたマニアックな部分をカバーしているのも、この本の良いところではないでしょうか。
最後の章では、南河内の古墳を開発から守った人々のエピソードが書かれており、やるせなさや、保存にかける人々の思いが伝わります。
古市古墳群周辺の遺跡や古墳の紹介もあり、この本を読めば、この時代の南河内の雰囲気もつかみやすくなっています。古市古墳群を知るにはオススメの一冊ではないでしょうか。