富田林市東板持にある「板持十三重塔」という石塔をご存じでしょうか?板持十三重塔は鎌倉時代に建てられた石塔で、13もの層が重なった巨大な石塔なんです。この巨大な石塔は、誰が何のために建てたのか?今回は、富田林市東板持にある「板持十三重塔」を紹介します。
板持十三重塔とは
板持十三重塔は、富田林市東部にある東板持地区の共同墓地に存在します。4mを超える花崗岩による石塔で、あまりの重さに土台が半分ほど地面に埋まるほど。
土台が埋まり銘文が判別できないため、誰がどのような理由で建てたのか分かっていません。ただ銘文の見えている個所に「文保三年己未」と記されていることから、鎌倉時代末期の1319年に建てられたと考えられています。この頃の東板持一帯は、楠木氏の支配地域でした。板持十三重塔の近くには、楠木正成生誕地など、楠木氏ゆかりの史跡も数多く存在します。
板持十三重塔と楠木氏に関係があるのかは不明ですが、かなりの有力者を供養するために建てられたものと考えられています。現在の板持十三重塔は、「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」によって認定された「重要美術品」に指定されています。文化財保護法が制定されたことによりこの法律は廃止されていますが、現在でも重要美術品の海外輸出には、文化庁長官の許可が必要とされています。
現在の板持十三重塔
今回は、国道309号線にある「クロスモール富田林」で買い物をしたついでに寄ることにしました。
クロスモール富田林から板持十三重塔までは、徒歩15分ほど。国道309号線を東に歩くと少し高台に。東板持一帯は、金剛山系の一部が北に伸びた先端部にあたり、板持トンネルの周辺には「板持古墳群」が存在しました。また、板持十三重塔のある東板持寿美ケ丘住宅一帯は、かつて板持厳島神社の領域でもあり、非常に長い歴史をもちます。
板持十三重塔は、東板持寿美ケ丘住宅の共同墓地の一角に存在。かなり高い塔なので、どの方向から来てもすぐに分かります。
こちらが、板持十三重塔。とにかく巨大です。本当に13段あるのか数えてみましたが、無事ありました。案内板によると、こうした石塔は朝鮮半島由来のものが多いそうです。段数も、三重、五重、七重と奇数のものが多いとのこと。割り切れると不吉とか、なにか意味があるんでしょうか・・・
台座部分をみてみると、四方に梵字らしき文字が彫られています。残念ながら、梵字が読めないので意味はわかりませんが・・・。
この共同墓地は、高台の中でもさらに一段高い場所に存在します。身分の高い人物は、高台の景観の良い場所に墓所を作るケースが多く見られます。この場所からすぐ南にある板持古墳群も、一帯の有力豪族の墓と考えられています。そう考えると、このような立派な石塔である板持十三重塔は、かなり身分が高い人物のために建てられたのかもしれません。
ところで、板持十三重塔には2つのユニークな逸話が残されています。1917年(大正6年)に刊行された『郷土史の研究』には「塔の心柱には金でできているという言い伝えがある」と記されています。そんなことはないと思いますが、謎が多い石塔だけに、人々の想像力を掻き立てるようです。
また、第二次世界大戦後に進駐した米軍が、板持十三重塔を公民館建設と引き換えに持ち去ろうとした逸話もあるとか。この謎多き石塔には、人を引きつける魅力があるのかもしれません。そんな黄金伝説や米軍の関心にもかかわらず、板持十三重塔は荒らされることなく存在し続けました。それは、地元の人々が板持十三重塔を大切に守ってきた証なのかもしれませんね。
板持十三重塔データ
住所 | 大阪府富田林市東板持町2丁目 |
建設年 | 1319年(文保3年) |
高さ | 約4m |
材質 | 花崗岩 |
アクセスと駐車場
・公共交通機関
近鉄長野線「川西駅」下車。駅を出てすぐの道を東に歩きます。国道外環状旧170号線を渡ると二又に分かれているので、右側を直進。この道を更に直進し、石川、佐備川を渡ります。佐備川を越えると、少し高台を登って行きます。突き当たりを左に曲がり、道なりに。二つ目の角を左に曲がり少し歩くと墓地があり、板持十三重塔が見えてきます。
・自動車
板持十三重塔の近くに駐車場はありません。川西駅周辺のコインパーキングから徒歩がオススメです。
周辺スポット
・板持厳島神社
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