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黒姫山古墳 | 百舌鳥でも古市でもない孤高の古墳 〜堺市美原区〜

黒姫山古墳

南河内の古墳を紹介する「ぶら古墳シリーズ」。第46回は堺市美原区にある「黒姫山古墳」です。



黒姫山古墳の特徴

黒姫山古墳

百舌鳥古墳群と古市古墳群の間には巨大な前方後円墳が2基存在します。1基は羽曳野市と松原市にまたがる「河内大塚山古墳」、もう1基がこの「黒姫山古墳」です。

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かつて黒姫山古墳は「墓山」と呼ばれていました。明治時代に入ると黒姫山古墳は、雄略天皇の娘で仁賢天皇の皇后である「春日大娘皇后陵」に指定。しかし1879年に根拠が曖昧だったとして春日大娘皇后陵の指定が取り消されます。




その後、羽曳野市にも「墓山」と名の付く古墳があり、混乱を避けるために改称されます。

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黒姫山古墳の由来について確かなことはわかっていませんが、黒山村にあり昔は皇后陵だった事から「黒姫山」と名付けられたと言われています。

黒姫山古墳とは

黒姫山古墳は全長114m、高さ11mの5世紀中頃に築造された前方後円墳。濠には水が満たされて、周囲は柵に囲まれているため中に入ることはできません。
前方後円墳

後円部の埋葬施設は盗掘により破壊されていました。しかし、第二次世界大戦中に航空機用燃料として松根油の採取をしていたところ、前方部から竪穴式石室が発見。

調査の結果、石室から24領の甲冑をはじめ、大量の鉄製武具や武器が出土。現在、出土した甲冑は、近くにある「堺市立みはら歴史博物館」にて一部が展示されています。

みはら歴史博物館

埋葬者は、丹比郡(松原市・大阪狭山市・堺市東区・堺市美原区の各全域とその周辺部)を治めていた丹比氏の有力者と考えられています。

丹比氏とは

黒姫山古墳

丹比氏は2系統存在します。1つめは火明命を祖神に持つ「丹比連」。丹比連は古墳時代に第18代「反正天皇」の直轄地であった丹比部を統治していた豪族。2つ目は第28代「宣化天皇」を先祖に持つ奈良時代に活躍した「丹比氏」。

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両一族は、丹比を支配していたという点で共通していますが、それぞれ別系統の一族です。黒姫山古墳に埋葬されているのは、時代的に古墳時代に活躍していた「丹比連」の方ではないかと思われます。




この時代において鉄は非常に高価なモノだった為、古墳にこれほど多くの鉄製の鎧を副葬品にするという事は大きな力を有していたと思われます。

その後、丹比において丹比連は歴史の舞台から消え、別系統の丹比氏が丹比群を支配したようです。

現在の黒姫山古墳

現在の黒姫山古墳は「史跡黒姫山古墳歴史の広場」として整備されています。広場の入口には復元された石室と円筒埴輪群が置かれています。

黒姫山古墳

黒姫山古墳

このように再現された物があると、当時の古墳がどの様な雰囲気だったのか、分かり易いので良いですね。

黒姫山古墳の近くにある広国神社に、黒姫山古墳の石室に使用されていた天井石が、一枚置かれています。広国神社に来る前は水路の橋に使われていたとか・・

広国神社

津堂城山古墳でも天井石は様々な用途に利用されていましたが、四角くて平べったいので使いやすいんでしょうか?広国神社の看板には3枚のうちの1枚と書かれていましたが、残りの2枚何処にいったのやら・・・

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復元された石室の先は広場になっており、古墳の全景が現れます。わりと急角度の斜面に感じますが、これは城に魔改造された影響何でしょうか?

黒姫山古墳

黒姫山古墳

西側の後円部に回ると、一部分が当時の古墳の状態に復元されています。黒姫山古墳が築造されたときは、葺き石が敷き詰められ、円筒埴輪が並べられていたようです。

黒姫山古墳

ただ、復元した部分もだいぶ自然に浸食されてきており、何数年かでこれですから、1500年たったら・・・

百舌鳥古市古墳群は市街地に多くあるため、ゆったりと見られる古墳は少ないですが、黒姫山古墳は、復元したレプリカや解説が充実しているのがいいですね。




黒姫山古墳で発掘された甲冑の詳しい解説は、黒姫山古墳の北側にある「堺市立みはら歴史博物館」に展示されています。博物館も合わせて回ると、黒姫山古墳もより楽しめるかもしれません。

アクセスと駐車場

河内松原駅

近鉄南大阪線「河内松原駅」より近鉄バスに乗り換え「下黒山西」下車。

黒姫山古墳のある「史跡黒姫山古墳歴史の広場」には駐車場がありません。車の場合は、近くにある「堺市立みはら歴史博物館」の駐車場に停めて、博物館と合わせて訪れるのがオススメです。

みはら歴史博物館

周辺スポット

・広国神社
広国神社

黒姫山古墳より徒歩約10分の場所にある神社で、広国押武金日命(安閑天皇)を祭っています。境内には黒姫山古墳の石室に使われたと思われる天井石が保存されています。

広国神社|境内に巨大な鍋があるのはなぜ?~堺市美原区~

・堺市立みはら歴史博物館

みはら歴史博物館

広国神社から徒歩約10分程の場所にある博物館。美原の歴史についての展示がメインで、黒姫山古墳や河内鋳物師について知ることが出来ます。

・大寶山 法雲禅寺

法雲禅寺

狭山藩を治めた、北条家の菩提所としても知られています。一風変わった。黄檗宗独特の建物が見所。

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・鍋宮大明神碑

広国神社

広国神社から徒歩約5分程の場所に存在します。もとは、烏丸大明神とも称していました。鍋宮大明神は広国神社に合祀されていますが、旧地に記念碑が置かれています。

黒姫山古墳データ


所在地:大阪府堺市美原区黒山529
古墳:黒姫山古墳
墳形:前方後円墳
全長:114m
高さ:11m
築造時期:5世紀中頃
埋葬施設:竪穴式石室
埋葬者:丹比連(?)



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