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釜戸塚古墳|名門「紀氏」にまつわるお墓?~太子町・葉室古墳群~

釜戸塚古墳

南河内の古墳を紹介する「ぶら古墳シリーズ」。今回は、南河内郡太子町葉室にある「釜戸塚古墳(かまとづかこふん)」です。釜戸塚古墳の埋葬者は不明ですが、古代の名族「紀氏(きうじ)」にまつわる墓とも言われています。一体どのような理由で、紀氏の墓といわれているのか?今回は、南河内郡太子町葉室にある「釜戸塚古墳」を紹介します。

釜戸塚古墳の由来

釜戸塚古墳の名前の由来は2つあります。1つ目は、人々が釜戸を作るために、古墳から土を持っていったからとする説。

2つ目は、続日本書紀に登場する「紀竈門娘(きのかまどのいらつめ)」からくる説です。紀氏は、古くからヤマト王権に仕える古代豪族。古墳時代から平安時代初期にかけて政治、軍事面で活躍しました。平安時代中期には、有名な歌人「紀貫之」を輩出しています。

太子町にある妙見寺の旧地から「紀朝臣吉継墓誌」が出土しています。紀氏が栄えていた時代は、太子町周辺に勢力を持ち、紀氏の墓が存在したようです。

紀朝臣吉継墓誌
Wikipediaより / Public domain

紀竈門娘は、文武天皇の嬪(側室)の一人として記録に残されていますが、それ以外のことはよくわかっていません。紀竈門娘の時代と古墳の築造時期にはズレもあり、実際に紀竈門娘の墓であるかは不明です。

釜戸塚古墳とは

釜戸塚古墳は、5基の古墳から構成される「葉室古墳群」の1基。葉室古墳群は、王陵の谷と呼ばれる磯長古墳群に属する支群に分類されています。

葉室公園

古墳規模は、直径45m、高さ5mの円墳で、7世紀前半に築造されたと考えられています。周囲には馬蹄形の濠が存在。葉室塚古墳群において濠が存在するのは、釜戸塚古墳と葉室塚古墳のみとされています。

円墳

北から南へ下る斜面を利用して墳丘を築いています。そのため、南から眺めると墳丘がよくわかりますが、北から見ると道路と墳頂がほぼ近い高さにあります。

釜戸塚古墳

墳丘の高さは約5mですが、築造時から大きく破壊されており、実際の高さは不明。直径は45mほどで、終末古墳の中では規模の大きい古墳に類します。

かつて周辺に、こぶし大の石が散乱していたとされています。終末古墳には、全体を葺石で覆う風習が廃れているため、斜面の崩落を防ぐため部分的に敷かれていたと考えられています。埋葬施設は破壊されていますが、残された埋葬施設の一部から「横穴式石室」と考えられています。

釜戸塚古墳

釜戸塚古墳の横穴式石室は「岩屋山式」と呼ばれるタイプで、同タイプの石室には叡福寺北古墳や太平塚古墳が存在しています。

太平塚古墳
太平塚古墳

叡福寺北古墳は聖徳太子であり、太平塚古墳は高徳天皇の真陵との説もあります。古墳規模や石室の特徴から、釜戸塚古墳にはかなり高貴な人物が埋葬されていた考えられています。

現在の釜戸塚古墳

葉室塚古墳群は、近つ飛鳥博物館へ行く際に通る道ですが、ここに古墳群があることには知りませんでした。

葉室公園

葉室古墳群は「葉室公園」として整備されており、駐車場も存在しています。ただ駐車場への道が異常に狭い上、柵もないので脱輪したら落ちるという恐怖仕様になっています。普通車ならギリギリの幅なので、震えながらなんとか駐車場まで到達しました。

葉室公園

釜戸塚古墳は、葉室公園の入口に存在します。斜面を削り掘を作ってあるため、墳頂と道がだいたい同じ高さにあるという珍しい古墳。

釜戸塚古墳

以前は、ぶどう畑だったそうですが、今は草木が生い茂っています。古墳といわれなければ、ただの茂みにしか見えずスルーされるでしょう。

横から見てもわかりませんが、上から見ると濠が馬蹄形になっているのがわかります。墳頂部はかなり取り崩されており、石室も部分的にしか残されていないようです。

釜戸塚古墳

公園の案内板に釜戸塚古墳についての簡単な解説はありますが、専用の案内板はありません。磯長古墳群において天皇陵以外で濠を有するのは、葉室塚古墳とこの釜戸塚古墳だけといわれています。

釜戸塚古墳

石室のタイプ、規模、濠の有無などから考えると、大王級、またはそれに匹敵する豪族が埋葬されていたと思われます。

釜戸塚古墳

それが紀氏なのか、磯長周辺を本拠地とする蘇我氏なのか…非常に興味深いところです。

釜戸塚古墳データ

古墳名釜戸塚古墳
住所大阪府南河内郡太子町大字葉室1320
墳形円墳
直径45m
高さ5m
築造時期7世紀前半
被葬者不明
埋葬施設横穴式石室(推定)
出土物
参考資料・太子町の古墳墓【太子町教育委員会】
・河内の古道と古墳を学ぶ人のために【泉森皎】

アクセスと駐車場

・公共交通機関
近鉄長野線「喜志駅」下車。金剛バス太子葉室循環線に乗車し「葉室」バス停下車。バス停より徒歩約3分。

・自動車
国道170号外環状線「栗ヶ池大橋西交差点」を東へ曲がります。府道32号美原太子線を10分程道なりに走り「上宮学園南交差点」を右折。府道33号富田林太子線を道なりに走り「近つ飛鳥博物館」の看板のある交差点を右折。つきあたりを右折し、すぐに葉室公園があります。葉室公園に2台ほどの停められる駐車場があります。ただ駐車場への道がかなり狭いので注意が必要です。

周辺スポット

・葉室塚古墳群

葉室塚古墳、釜戸塚古墳、石塚古墳、モンド神古墳、陪塚1基の5基で構成されている古墳群。

・蝦夷塚(一須賀古墳群O-10号墳)

釜戸塚古墳から徒歩15分程の場所にある古墳。蘇我蝦夷の墓との言い伝えがありますが、埋葬者は不明。

・近つ飛鳥博物館

釜戸塚古墳から徒歩10分程の場所にある博物館。南河内の古墳や史跡を紹介しています。安藤忠雄建築による特徴的な建物。

・敏達天皇陵/太子西山古墳

釜戸塚古墳から徒歩15分程の場所にある古墳。敏達天皇を祭る古墳で、天皇陵における最後の前方後円墳とされています。

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