大鳥塚古墳|戦争遺跡を持つ前方後円墳~藤井寺・百舌鳥古市古墳群~

大鳥塚古墳南河内の古墳を紹介する「ぶら古墳シリーズ」。今回は、藤井寺市古室にある「大鳥塚古墳」です。百舌鳥古市古墳群の一つで、世界文化遺産「27」に登録されています。




中世に入ると古墳に城が築かれることが度々ありましたが、大鳥塚古墳は近代に「あるもの」が築かれそうになりました。

その「あるもの」とは一体なんなのか?今回は、藤井寺市古室にある「大鳥塚古墳」を紹介します。

大鳥塚古墳とは

大鳥塚古墳大鳥塚古墳は、全長110m、高さ12.3mの前方後円墳。築造時期は、5世紀初頭と考えられています。

後円部は3段、前方部は2段で築成されており、くびれ部両側に「造出し」をもちます。




かつては墳丘に葺石が施されており、周りに空堀が存在。埋葬施設は不明ですが、粘土槨と考えられています。墳丘からは、円筒埴輪の他、家、盾、衣蓋、冑形などの形象埴輪も出土。大鳥塚古墳

現在宮内庁で保管されている変形四獣鏡他や、東京国立博物館が所有する位至三公鏡は、大鳥塚古墳から出土したと伝わっています。大鳥塚古墳

大鳥塚古墳のすぐ北にある赤面山古墳は、大鳥塚古墳の陪塚とされています。赤面山古墳から出土した円筒埴輪には、大鳥塚古墳の円筒埴輪と共通点があるとのこと。

赤面山古墳
赤面山古墳

このことから、大鳥塚古墳の被葬者と赤面山古墳の被葬者には、主従関係があったと考えられます。




1956年(昭和31年)に国史跡に指定。2019年(令和元年)7月に、百舌鳥古市古墳群の一つとして世界文化遺産に登録されています。

大鳥塚古墳に残る掩体壕跡

大鳥塚古墳の後円部西側には、コの寺形にくぼみがあるのが分かるでしょうか?大鳥塚古墳

これは第二次世界大戦中に作られかけた「掩体壕(えんたいごう)」の跡です。掩体壕とは、主に飛行機などを敵の攻撃から守る施設。

掩体壕
八尾空港の北東にある掩体壕跡

なぜ、この場所に掩体壕が作ろうとしたのか?藤井寺市に隣接する八尾市には「八尾空港」と関係します。

第二次世界大戦中の八尾空港は、「大正陸軍飛行場」という名称で陸軍が管理していました。陸軍が空軍を管理するのは不思議に思えますが、大日本帝国には空軍がなかったので、陸軍と海軍はそれぞれ航空機を保有していました。




第二次世界大戦末期に入ると、八尾空港への被害が予想されました。万一、八尾空港が被害を受けたときの代ために、藤井寺市を南北に走る府道を滑走路として利用する案が浮上。

大鳥塚古墳は府道に近い場所にあるため、戦闘機を隠す場所として選ばれたようです。

コの字になっている実際の場所です。コンクリートなどの屋根はなく、墳丘を削った跡だけが残ります。横からみるだけでは、掩体壕跡と言われても分からないと思います。大鳥塚古墳

掩体壕跡は、北側にも2ヶ所あり合計3ヶ所作られようとしました。北側2ヶ所も、よく見ると窪んだ場所があり掩体壕跡だったと思われます。大鳥塚古墳 大鳥塚古墳

現在の大鳥塚古墳

大鳥塚古墳は、中に入ることができる貴重な前方後円墳の一つ。




ただ、草木が鬱蒼と茂っており、同じ中に入られる古室山古墳とは少し雰囲気が異なります。大鳥塚古墳

訪れた時も、墳丘には誰もおらず静かな雰囲気。夏場なので、虫もたくさんいらっしゃいます…




後円部は少し急角度になっているのと、地面が砂利になっているので少し上りにくくなっています。大鳥塚古墳

かつて墳頂には、掩体壕を防御銃座が4基設置されていたそうです。いわれてみると、墳頂には、4ヶ所ほど窪んだ場所があり、その名残なのかもしれません。
大鳥塚古墳大鳥塚古墳墳頂につきましたが、ここからの眺めは…

木が邪魔で全然見えません!!大鳥塚古墳

近くの古室山古墳は市民の憩いの場として親しまれています。しかし大鳥塚古墳は、同じ中に入られる前方後円墳でも、これだけ雰囲気が違うというのも興味深いですね。




戦争遺跡をもつという、不思議な雰囲気を醸し出す大鳥塚古墳でした。

アクセスと駐車場

・公共交通機関土師ノ里駅近鉄南大阪線「土師ノ里駅」下車。駅の前を南北に走る、外環状旧170号線を南に歩きます。5分ほど歩くき、西名阪自動車道と交差するところで西に歩きます。3分ほど歩くと古室山古墳が見えてくるので、西名阪自動車道の高架をくぐると大鳥塚古墳があります。




・自動車
大鳥古墳の周辺に駐車場はありません。土師ノ里駅周辺のコインパーキングに車をとめて、駅前にある「もずふるレンタサイクル」を利用すれば効率よく古墳を巡れます。

周辺スポット

・仲姫命陵/仲津山古墳仲姫命陵古墳大鳥塚古墳から徒歩5分程の場所にある古墳。応神天皇の皇后「仲姫命」の陵とされる巨大前方後円墳。

仲姫命陵(仲津山古墳) | 藤井寺市最大の古墳は女性の埋葬者? ぶら古墳 Vol.34 〜藤井寺 百舌鳥古市古墳群〜

・古室山古墳古室山古墳大鳥塚古墳のすぐ北にある古墳。大鳥塚古墳とともに、中に入ることができる貴重な前方後円墳。

古室山古墳 | 四季の景色が美しい古墳 ぶら古墳 Vol.32 〜藤井寺 百舌鳥古市古墳群〜

・赤面山古墳赤面山古墳大鳥塚古墳の北隣にある古墳。大鳥塚古墳の陪塚とされる円墳で、高速道の高架下にある珍しい古墳。

赤面山古墳|高速の高架下に保存された珍しい古墳~藤井寺市・百舌鳥古市古墳群~

・応神天皇陵/誉田御廟山古墳誉田御廟山古墳(応神天皇陵)大鳥塚古墳の南隣にある古墳。応神天皇の陵とされる巨大前方後円墳で、全国で2番目の規模をほこります。

誉田御廟山古墳に眠る応神天皇が八幡神?~ 応神天皇陵  羽曳野市 百舌鳥古市古墳群~

大鳥塚古墳データ


古墳名:大鳥塚古墳
住所:大阪府藤井寺市古室2丁目
墳形:前方後円墳
全長:110m
高さ:12.3m
埋葬者:不明
築造時期:4世紀末~5世紀初頭
埋葬施設:不明
参考資料:
・古市古墳群をあるく【久世仁士】
・藤井寺市ホームページ
・案内板