千早赤阪村にある「上赤阪城」をご存じでしょうか?千早赤阪村出身の楠木正成は、後醍醐天皇の倒幕活動にいち早く参加し、千早赤阪にて幕府軍と激しい戦いを繰り広げました。
その戦いの舞台の一つが、「上赤阪城」なんです。上赤阪城の本丸からは、南河内を一望できる素晴らしい眺望が広がっており、人気の登山コースの一つになっています。
また、上赤阪城へは登山道として整備されており、駐車場から20~30分ほどで登れるんです。
歴史を感じながら、気軽に登れる上赤阪城とは、どんなところなのか?今回は、千早赤阪村にある「上赤阪城」を紹介します。
上赤阪城跡とは
上赤阪城は、大阪府唯一の村「千早赤阪村」に存在。この城は、楠木正成が幕府軍に対抗するために築城した「楠木七城」の一つで、別名「楠木本城」とも呼ばれています。金剛山から伸びる尾根を利用した天然の要害で、守りやすく攻めにくい山城でした。
上赤阪城が歴史に登場するのは、1333年3月の「上赤阪城の戦い」。楠木正成は、近畿各地で幕府軍を打ち負かすなど、無視できない勢力となっていました。
幕府軍は本格的に討伐軍を編成し、正成の本拠地を攻撃。それに対して楠木軍は、楠木正成を千早城に、上赤阪城には平野将監と弟の楠木正季を配して迎え撃ちます。
わずか数百人で守る上赤阪城に対して、幕府軍は8000の大軍で攻撃。しかし唯一の攻め口である南側は、道が細く幕府軍は大苦戦に陥ります。最終的に、水源を断たれて落城しますが、幕府軍は1800名もの死傷者を出す大損害を受けました。
上赤阪城、千早城で幕府軍を引きつけている間に、足利尊氏と新田義貞が後醍醐天皇に味方。足利尊氏が京の六波羅を、新田義貞が鎌倉を落とすことで、鎌倉幕府は滅亡へ。
楠木正成は、幕府軍を河内に釘付けにした功績により、河内守護に任命。河内の土豪に過ぎない楠木正成でしたが、これにより新政権の要職に就くことになります。
駐車場から登山口が近い
上赤阪城の登山口には、無料の駐車場が存在します。駐車場から上赤阪城の本丸まで、約20分ほどの距離なので、気楽に登山が楽しめます。
ただ駐車スペースは、3~4台ほどしかないため、行楽シーズンは早めに満車になることも。
そんなときは登山口から15分ほど離れた「道の駅ちはやあかさか」が便利。
道の駅には60台ほどの駐車スペースがあるので、安心して車を停めることができます。
上赤阪城へ行ってみました
登山口から一の木口へ
本来なら、登山口の駐車場にチャレンジするべきですが、駐車場が満車の可能性を考えて、今回は「道の駅ちはやあかさか」に車を停めました。
給食センターの前にある細い道を曲がり、ミカン畑を抜けたところが登山口。
登山口には、3~4台ほどの駐車スペースがあるほか、案内板が設置されています。案内板には、赤阪城の本丸までのルートや、周辺スポットが分かりやすく解説。しかし8番の「首切り場」ってなんでしょうね、怖すぎです…
上赤阪城の周辺には、出城がいくつも築かれていたようで、まさに堅牢な山城といえます。
こちらが登山口。入口には、千早赤阪村のゆるキャラ「まさしげくん」がお出迎え。キャッチフレーズは
「げんき!すてき!くすのき!」
なんか聞いたことのあるリズムですね…
登山口から少し上がったところが「一の木口」になります。木口とは、いわゆる城門。
一の木口を過ぎると、両端がせり上がった細い山道が続きます。切通しと呼ばれる道で、大軍が攻めにくいように狭い道幅となっています。これで上から弓やら石やら降ってきたら帰りたくなりますよね・・・
ちなみに訪問時は冬だったため、大量に積もった枯れ葉で足元がフワフワとして歩くのに難儀しました。
一の木口からそろばん橋へ
一の木口から5分ほど歩いた場所にある「二の木口」。
この東側には「二河原辺城」、西側には「一番のきり城」と謎の「首切り場」があるそうです。ただ、いけそうな道はなく、おそらく行っても痕跡は分からないでしょう。しかし「一番のきり城」とは変わった名前ですが、由来はなんなのか…
二の木口から少し歩くと「三の木口」が存在。ここまでで、約半分ほど登ってきました。
三の木口を過ぎるとある「そろばん橋」。
土橋が架けられており、極端に道が狭くなっています。橋を渡った先が高台になっているので、細い道に敵が殺到したところを、上から攻撃するのでしょうか。
そろばん橋から本丸へ
そろばん橋を過ぎるとある「四の木口」が最終防衛ライン。ここが突破されると、あとは二の丸と本丸を残すのみ。
四の木口を過ぎると、木の根が綺麗にむき出しになった不思議な道があります。ここは、光がさす少し神秘的な雰囲気。
木の根の道を過ぎると、左側にそびえ立つ崖が現れます。この上が「二の丸」になっており、この上から石やら弓が襲いかかってくるんですね…もう、ムリゲーです。
二の丸を過ぎたところにある「茶碗原」と呼ばれる場所。石臼、土器などが見つかったことから名付けられたとのこと。陣屋もしくは炊事場があったと考えられています。
茶碗原を過ぎると、いよいよ本丸です。本丸へは、いきなり急角度の坂になります。ここが落とされると落城なので、しかたありません。
急な坂道を登っていくと、ついに上赤阪城の本丸に到着!本丸の標高は約350mあり、南河内が一望できる素晴らしい景色!
本丸の周辺は、ベンチが置かれています。素敵な景色を眺めながら、お弁当を食べられるとは贅沢な空間ですね。
発掘調査では、この場所には建物が存在したことが分かっています。もしかすると、ここを本陣として、平野将監と楠木正季も、この場所で指揮していたのかもしれませんね。
まとめ
上赤坂城は、山城だけに道中は起伏に富んだ楽しい登山が味わえます。
駐車場からは150mほどの高さなので、20~30分ほどで山頂からの素晴らしい景色が楽しめるのがいいですね。
近くには道の駅もあるので、登山の後は、ゆっくりカフェやショッピングも楽しめます。また道の駅の近くには、千早赤阪村の資料館や、楠木正成ゆかりの建水分神社など、正成ゆかりのスポットも多く存在します。上赤坂城を登って、歴史を感じながら、素晴らしい景色を堪能してはいかがでしょうか?
今回は、駐車場からのアクセスもよく、気軽に登れる「上赤坂城」を紹介しました。
アクセス
・公共交通機関
近鉄長野線「富田林駅」下車。金剛バスから「東水分行き」または「水越峠行き」のバスに乗り「水分」下車。国道309号線を南に少し歩るき、右折して南河内グリーンロードを道なりに歩きます。しばらく歩くと、学校給食センターが見えるので、そこを左折。少し歩いたところが、登山口になります。
・自動車
外環状170号線「新家交差点」を東に曲がります。国道309号線を道なりに走りつづけると、南河内グリーンロードに入る道があるので右折。少し走ると、学校給食センターが見えるので、そこを左折。少し登ると、駐車場があります。
周辺スポット
・道の駅ちはやあかさか
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・建水分神社
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・金山古墳
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上赤阪城データ
住所:大阪府南河内郡千早赤阪村桐山
標高:349.5m
距離:約1km
築城主:楠木正成
主な城主:平野将監・楠木正季
指定文化財:国史跡