南河内の山でハイキングといえば、金剛山や二上山がよく知られています。しかし、富田林市にある「金胎寺山(こんたいじさん)」にも、整備されたハイキングコースがあるのをご存じでしょうか?
富田林市の最高峰である金胎寺山は、近年地元の方々によりハイキングコースが整備され、登りやすくなっているんです。楠木正成にもゆかりのある金胎山は、どのような山なのか?今回は、穴場的なハイキングコースがある「金胎寺山」を紹介します。
金胎寺山は富田林市最高峰の山
富田林市の南東に存在する金胎寺山。山の北は、嶽山(標高約278m)に連なり、南端は河内長野市に接しています。金胎寺山の名前は、お釈迦様が亡くなったときの姿に似ていることが由来ともいわれています。山の標高は296.2mで、富田林市の最高峰。金剛山が1,125mですので、1/3より少し高いほど。二上山の雄岳(517m)よりも低いので、気楽に登ることができます。
金胎寺山には城があった
金胎寺山は、西は石川、東を谷に挟まれた要害であることから「金胎寺城」が築かれていました。鎌倉時代末期、楠木正成は幕府打倒のため、千早赤阪村の赤坂城にて挙兵。その際、正成は幕府軍を迎撃するため、7つの城を築きました。金胎寺城もその1つで、この7つの城は「楠木七城」と呼ばれています。
金胎寺城では、応仁の乱において激しい争いが行われています。河内守護をめぐる畠山家の内紛では、金胎寺城と嶽山城を中心に、籠城戦が2年も繰り広げられました。ハイキングコースにも、城の痕跡がいくつか残っており、地元では別名「城山」とも呼ばれています。
金胎寺山へ行ってみた
汐ノ宮駅から登山口まで
今回は、汐ノ宮駅前のコインパーキングに車を停め、金胎寺山に向かいました。山の姿がお釈迦様の横たわった姿か確かめたかったのですが、斜めからではちょっと分からないかも・・・
石川を渡り、南に歩くと腰神神社が見えてきます。社伝によると、楠木正成の愛馬が腰を痛めて、境内の藤の木につないでいると、腰が治ったとのこと。そんな由来から腰神神社は、腰にご利益があるといわれています。
腰神神社を過ぎ、さらに進むと金胎寺山登山口の看板が見えてきます。ここまで駅から約20分ほど。
道なりに歩くと左側に嬉町の集会所があり、登山用の駐車スペースがあります。
田んぼを脇に眺めながら進むと、金胎寺山登山口に到着。いきなり柵があり、進入禁止かと思ってしまいますが、こちらはイノシシ除けの柵。柵を開けて中に入っても大丈夫ですが、中に入ったら柵を閉めましょう。
登山口から山頂まで
少し歩くとある「大門跡」という看板。もともと金胎寺山の山頂には「金胎寺」というお寺が存在しました。しかし楠木正成が築城のために、山麓に移したとのこと。
現在、金胎寺は失われていますが、この場所には寺の大門があったとのこと。大門には、運慶作による仁王が置かれていましたが、現在は、河内長野市の金剛寺にて祭られているそうです。
更に進むとある「金胎寺跡」という看板。10棟ほどの伽藍があったそうですが、今は藪しかありません。
こちらは「楠木軍兵舎跡」。ここと合わせ3カ所あったそうです。この辺りから竹林が増え、地面に枯れた笹の葉が増えてきます。滑りやすいので注意が必要。
兵舎跡からさらに登ると「中間展望台」が存在。中間とありますが、ここから5分ぐらいで山頂に着くので、中間といえるのか…
この辺りの道は狭いものの、枯れ葉も少なく歩きやすくなっています。
山頂手前で、道が二手に分かれています。左側を進むと、トイレが設置。ちなみに、その奥には「楠公さんの隠し井戸」があるそうですが、薮だらけなので断念。
ここまですれ違った登山客は2組。気楽に登れていいと感じるか、人が少なくて不安と感じるかはあなた次第…
山頂に到着!
トイレから少し登った所が山頂です!南河内が一望できる、素晴らしい眺望。晴れていると、あべのハルカスだけでなく明石海峡大橋まで見えるそうです。
山頂は広場になっており、ベンチも置かれています。お弁当を食べるスペースがあるのは、嬉しいですね。
山頂の看板もあるので、素敵な眺望をバックに記念撮影も!
まとめ
今回は、富田林市の最高峰「金胎寺山」を紹介しました。300mほどの山で、登山口から30分もあれば山頂に到着します。ただ、城が築城されるだけあり、道は細く、勾配もすこしキツめではあります。山頂へのルートには、案内板が数多く設置されており、迷う心配はありません。地元の方々により近年整備されたそうで、この山への愛着を感じます。まだ認知度が低いのか、すれ違う人も少ない穴場的なハイキングコースでした。のんびり静かに歩きたい人にはオススメの登山ルートですね。
アクセスと駐車場
住所:富田林市嬉1004-130
・公共交通機関
近鉄長野線「汐ノ宮駅」下車。駅から東に歩き、石川を渡ります。つきあたりを右折し直進します。少し歩くと腰神神社があり、さらに直進すると「金胎寺山登山口」の看板があるので左折。道なりに歩くと登山口に到着します。
・自動車
登山口手前にある、嬉町の集会所の入口付近が登山客用の駐車スペースになっています。ただし、集会が行われているときは利用できません。ただ、ここは駐車スペースが限られているので、汐ノ宮駅前にあるるコインパーキングのほうが多く止めることができます。
周辺スポット
・腰神神社 ... 続きを見る
金胎寺山の麓にある神社。楠木正成の愛馬が腰を痛めた際に治った由来から、腰にご利益がある神社として知られています。
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金胎寺山から徒歩20分ほどの場所にある古墳群。4基の古墳により構成されており、富田林市内において平地に存在する珍しい古墳です。
西野々古墳群|富田林市で平地にある珍しい古墳群
・願昭寺
金胎寺山から徒歩25分ほどの場所にあるお寺。広大な敷地に巨大な伽藍を有するお寺として知られています。境内には、大阪府内で唯一とされる木造の五重塔が存在します。