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流谷八幡神社|縄掛け神事と樹齢400年の大イチョウ〜河内長野市〜

流谷八幡神社の拝殿

南河内の神社を紹介する「となりの鎮守様」シリーズ。今回は、河内長野市天見にある「流谷八幡神社(ながれたにはちまんじんじゃ)」です。流谷八幡神社は、毎年1月に行われる「縄掛け神事」が特に知られています。

また境内のイチョウは、樹齢400年の歴史を持つ樹木として、大阪府指定天然記念物にも指定されています縄掛け神事や大イチョウはどのようなものなのか?今回は河内長野市天見にある「流谷八幡神社」を紹介します。

流谷八幡神社とは

流谷八幡神社の建つ河内長野市天見地区は、和歌山県と接する南河内の最南端の場所として知られています。天見地区は天見村、岩瀬村、清水村、流谷村が合併した地区で、流谷八幡神社は旧流谷村に所属。流谷地区は、流谷川による侵食により形成された細長い谷あいの土地で、川沿いには棚田など昔ながらの光景が残されています。

流谷地区

神社の正式名称は「八幡神社」ですが「流谷八幡神社」「天見八幡神社」とも呼ばれています。社伝によると、1039年(長暦3年)に石清水八幡宮の神領であった当地に、八幡神を勧請されたことが創建とされています。ただ、120年ほど前に社殿等が焼失したため、詳しい歴史はよくわかっていません。明治5年に村社に列し、現在に至ります。

祭神の八幡三神とは

八幡神社ということで、いわゆる「八幡三神」を祭っています。この八幡三神というのも神社によってバラバラで、基本的に下記の4柱のから組み合わされています。

・応神天皇(品陀和気命)
・神功皇后(息長帯比売命)
・仲哀天皇(足仲彦尊)
・比売神
応神天皇は八幡神の中心なので基本的には外しません。

誉田御廟山古墳(応神天皇陵)
羽曳野市にある「応神天皇陵」

神功皇后は応神天皇の母親で、記紀において大活躍する人物で、わりと入ることが多い神様。

神功皇后陵
奈良県にある神功皇后陵

仲哀天皇は応神天皇の父親ですが、神功皇后の引き立て役的な存在。

仲哀天皇陵
藤井寺市にある「仲哀天皇陵」

比売神は、八幡系神社で祭られている神様ですが、女神という以外によく分かっていません。南河内の八幡系神社では、比売神はあまりみかけませんが、流谷八幡神社は「応神天皇」「神功皇后」「比売神」のパターン。おそらく、勧請元の石清水八幡宮も「応神天皇」「神功皇后」「比売神」なので、それにあわせたのかもしれません。

流谷八幡神社へ行ってみました

流谷八幡神社に駐車場があるか不明だったのと、途中の道が狭そうという理由で今回は駅から徒歩で向かいました。行ってみると、道は広く駐車場もあったので、車で行っても問題なかったようです。南河内最南端の南海天見駅に降り立つのは人生で2度目。昔、天見では有名な南天苑の隣にカフェがあり、そこでお茶をした記憶があります。ただそれ以外に記憶がなく、一体なにをしに天見にきたのか…

天見駅

天見駅から南に歩くと、国道371号線にたどり着きます。この交差点は「出合ノ辻」という、ほのぼのとした名前。言い伝えによると、この場所で楠木正成が紀州方面から攻めてきた敵を打ち破ったことが由来とか…

出合いの辻

出合ノ辻から西へ向かうと流谷地区に入ります。のどかな流谷地区の風景を眺めていると、道のかたわらに謎のデカい釜…いったいコレは何…

流谷地区

縄掛け神事

流谷の集落をひたすら進むと真っ赤な橋が現れ、橋の先に流谷八幡神社が存在します。

流谷地区

ちなみに、この橋の近くで毎年1月6日に「縄掛け神事」が行われます。この神事は、重さ約100kg、長さ約70mの注連縄を社殿前方にある大杉と、川を挟んだ柿の木の間にかけるもの。

流谷八幡神社に掛かる橋

縄を掛けた後は自然に任せ、長い時は7月ぐらいまで切れないそうです。長く保つほどその年は豊作になるとのこと。1月6日に行うのは、石清水八幡宮から勧請された日とのことで、歴史ある神事として河内長野市指定民俗文化財にも指定されています。

流谷八幡神社の境内

橋を渡ると少し高台に鳥居と拝殿が見えます。鳥居のすぐ下が壁というなかなか独特な構造。

流谷八幡神社の全景

拝殿へは横の坂道から上ります。なぜこちら側を正面に鳥居を置かなかったのか…もしかすると、昔は正面から上れたのかもしれません…拝殿に行く前に、さらに上へ行く道があったので向かってみると小さなお寺がありました。山号は、達筆過ぎて読めなかったのですが「薬師寺」という名前のようです。

流谷八幡神社にある薬師寺

1692年(元禄5年)の寺社吟味帳に薬師寺名前があることから、少なくとも江戸時代には存在していたようです。もともとは茅葺屋根のお堂で、場所も今の場所ではなかったとのこと。小さなお堂ながら、手入れされた境内はとても素敵な雰囲気でした。

薬師寺から戻り、流谷八幡神社へ。坂を上ると、可愛らしい手水舎がありました。水盤むき出しの手水舎タイプは、置かれているだけで使われていないパターンがほとんどです。しかしこちらの手水舎は、水源も確保し、タオルまで設置されています。

流谷八幡神社の手水舎

こちらは鳥居の手前にある謎の物体。形からして井戸だったのでしょうか?

流谷八幡神社にある井戸

こちらが鳥居と拝殿。1月の第1週に訪問したので、紅白の幕がつけられています。高台の敷地がかなり狭く、鳥居と拝殿も間近です。

流谷八幡神社の拝殿と鳥居

拝殿に入り奥を覗くと、高台に本殿が存在。資料によると、末社として三柱神社と二柱神社があるそうです。拝殿付近には見あたらなかったので、本殿近くにあるのかもしれません。

流谷八幡神社の本殿

大阪府指定重要文化財の鉄製湯釜

拝殿内のガラスケース内には、釜が保存されています。流谷八幡神社では、毎年7月に探湯祭が行われており、この釜は、湯立て神事に使われていた昔の鉄製湯釜。

流谷八幡神社の鉄製湯釜

釜には、「河内国錦部郡甲斐■庄山郡流谷八幡宮御湯釜延元五年■卯月一五日■氏■■観進法印賢覚大工一木■■」の銘が彫られており、延元5年(1340年)に賢覚という僧に勧進されて作られたとのこと。

流谷八幡神社の鉄製湯釜

銘が刻まれた湯釜では最古級らしく、大阪府指定重要文化財に指定されています。延元5年に作られた鉄製湯釜は、現在「大阪市立美術館」に収蔵されているとのこと。ガラスケース内の鉄製湯釜は、レプリカなのかもしれません。

樹齢400年の大イチョウ

拝殿の隣に社務所がありますが、宮司さんは常駐していないようです。ただ宮司さんがいるときは、御朱印をいただくことはできるようです。

流谷八幡神社の社務所

社務所の奥にある、巨大なイチョウの木。

流谷八幡神社のイチョウ
流谷八幡神社のイチョウ

樹高30m、幹周り約5.5m。樹齢400年とされ、大阪府指定天然記念物に指定されています。残念ながら訪問時は1月だったので葉は落ちていましたが、11月頃に葉が黄色く色づき美しい姿をみせるとのこと。

まとめ

流谷八幡神社

河内長野市天見にある流谷八幡神社を紹介しました。今回は、駅からブラブラとのどかな景色を眺めながらの訪問ということで、道中も楽しむことができました。今回はイチョウの見頃ではなかったため、黄色く彩られた姿を見られませんでしたが、機会があればぜひ再訪したいと思います。

流谷八幡神社データ

神社名流谷八幡神社
住所大阪府河内長野市天見2211
祭神応神天皇、神功皇后、比売大神
旧社格村社
式内社なし
祭事1月6日:縄掛神事
2月11日祈年祭
7月第2土曜日:探湯祭(湯立神事)
10月第2土曜・日曜日:例祭
11月23日:新嘗祭
参考資料・神社案内板
・大阪府神社名鑑

アクセスと駐車場

・公共交通機関
南海高野線「天見駅」下車。駅でるとすぐに二又に道が左右に分かれているので、右に進みます。道なりに進むと「出合ノ辻交差点」に出るので、信号を渡り西に向かいます。そのまま、集落を貫く道を5分ほど歩くと流谷八幡神社に続く赤い橋が見えてきます。橋を渡ってすぐに、流谷八幡神社が存在します。

・自動車
流谷八幡神社には、無料の駐車場が存在します。ただ停められる台数は多くありません。国道371号線「出合ノ辻交差点」を西に曲がり道なりに少し走ると左側に流谷八幡神社の駐車場が存在します。

周辺スポット

・蟹井神社
流谷八幡神社から徒歩20分ほどの場所にある神社。名前の通り、蟹にまつわる御利益があるユニークな神社です。


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