皆さん、大黒様をご存知でしょうか?黒い姿で米俵に乗り、大きな袋と小槌を持ってニコニコしている神様です。その大黒様が日本で初めて祀られたお寺がなんと羽曳野市にあるのです。そのお寺の名前は「大黒寺」。そのものズバリの名前です。果たしてどんなキッカケで大黒様が祀られるようになったのか?今回は羽曳野市にある大黒寺を紹介いたします。
そもそも大黒様とは
大黒様は元々インドで「マハーカーラ」と呼ばれる神様です。マハーカーラと聞いても、ピンときませんが、ヒンドゥー教3柱神の1神である「シヴァ神」と言えば聞いたことがあるかもしれません。マハーカーラとはシヴァ神の別名と言われています。
マハーは「大いなる」、カーラは「黒、暗黒、時間」を意味し、世界を破壊するときに黒い姿で現れるそうです。もうお分かりだと思いますが、大黒様の名前の由来はマハーカーラをそのまんま日本語に訳した名前になります。マハーカーラがどんな御利益をもつ神様かと言えば、シヴァ神の別名であることから「戦闘、冥府、財福」を司っています。
ですので、インドでは怒り表情をもち、四本の手には棒やら鉾やら武器をもつ物騒な姿をしており、日本でよく見る大黒様とは似ても似つかない姿に…
どうやら、インドから日本に伝わる途中の中国で「戦闘、冥府、財福」のうち、戦闘、冥府、が削られ、日本には財福の神として、ふくよかでニコニコした姿になったようです。
大黒寺とは
大黒寺の創建は665年、修験道の開祖である役ノ行者が金剛山で修行をしていると大黒様が五色の雲に乗ってあらわれ「我は、福を与える神である。縁ある地に我をまつり祈願する道場とせよ。」お告げをします。
役ノ行者はお告げに従い、羽曳野市の大黒(おぐろ)に桜の木で大黒天を作り、小堂に安置したのが寺の始まりといわれています。大黒寺ができた頃は修験道の道場でしたが、日本に密教が伝来して以降は空海によって真言宗の寺となります。
戦国時代には南河内の神社仏閣でよくあるパターンですが、織田信長の河内侵攻にまきこまれ建物を焼失しています。駒ヶ谷山と高屋城とのちょうど中間地点にあるので被害食らっちゃいますよね…
その後、地元の豪族・庄屋であった大黒豊継により再び寺の整備がなされ再建されます。1734年には真言宗から曹洞宗に改宗され現在に至っています。
大黒寺の見所
現在の大黒寺は訪れる人を楽しくさせるものがいくつかあるので紹介します。まず始めに記事トップにも載せました巨大な大黒様です。この大黒寺のシンボルですね。石で作られたもので、2mぐらいあるでしょうか。
河内西国霊場の看板がかけてあります。大黒寺は河内西国巡礼では八番目の札所になります。
こちらが本堂です。ここに本尊の大黒天が祀られています。甲子の日、節分、正月に開帳されるそうなので、今度はご開帳の時に訪れてみたいですね。
そして圧巻なのがこの七福神の石像!
大黒寺にお参りに行くと大黒天だけではなく七福神すべてお参りできるというありがたいシステムのようです。石像はかなり綺麗なのですが、最近作られたのでしょうか?
続いてこちらは中国「清代」の鐘です。「一願一撞の鐘」といい、一つ願い一つ撞けば一つ願いが叶うそうです。普通、お寺では中々自由に鐘をつかせてくれる所は少ないので、珍しいパターンです。
こちらは小槌の周囲にある鈴をならしながら七回周って念じると大吉との事。誰もいない境内で男性ひとりがグルグル周っていると明らかに不審人物なので今回は断念いたしました。
三面大黒天のお堂です。実は中を一周できる通路があり、右から念じながら願い事を伝えるといいそうです。
気になったのが、謎の地面から出ている手。ドラクエでいうマドハンド的な感じですが、多分何かありがたい意味があるのだと思います。
まとめ
ご朱印を貰う時に色々お聞きしようと思っていたらお留守でした。あの地面から出ている手の正体が分からなかったのが少し残念です。非常に歴史のある大黒寺ですが、古い歴史と面白い取り組みが味わえるユニークなお寺でした。
御朱印
御朱印 | 手書き |
初穂料 | 300円 |
大黒寺データ
寺名 | 龍泉寺 |
住所 | 大阪府羽曳野市大黒499 |
山号 | 天童山 |
宗派 | 曹洞宗永平寺派 |
本尊 | 大黒天 |
開祖 | 役行者 |
札所 | 河内西国霊場第八番 |
参考資料 | 案内板 |
アクセスと駐車場
近鉄南大阪線「駒ヶ谷駅」から南西へ徒歩約200m。左に駐車場が見えてきますので、駐車場の中に入って行くと入り口があります。駐車場の先に山門がありますがそこから入ることはできません。
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