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羽曳ヶ丘神社|昭和に神社を建てたら、誰を祭る?〜羽曳野市〜

羽曳が丘神社の全景

南河内の神社を紹介する「となりの鎮守様」シリーズ。今回は、羽曳野市羽曳が丘西にある「羽曳ヶ丘神社(はびきがおかじんじゃ)」です。羽曳ヶ丘神社は、昭和中頃に創建された新しい神社として知られています。

古代に創建された神社なら、創建者に関わりある神様が祭られますが、現代に建てられた神社は、誰を祭るのでしょうか?今回は、羽曳野市羽曳が丘西にある「羽曳が丘神社」を紹介します。

羽曳ヶ丘神社とは

羽曳が丘神社は、羽曳野市西部を南北に走る「羽曳野丘陵」に存在します。もともとこの一帯は、草木に覆われた山でしたが、昭和中頃に住宅地として開発されました。

現在の羽曳ヶ丘

1961年(昭和36)年に、大和ハウスが宅地開発会社・大和団地を設立。羽曳野丘陵に大規模住宅地「羽曳野ネオポリス」の開発がスタートします。1964年(昭和39)より入居開始。住民達の公募でこの一帯は「羽曳ヶ丘」と名付けられます。入居が進む1966年(昭和41)年に、羽曳ヶ丘神社が創建。2020年現在で約6000人の人が暮らしています。

昭和に神社を建てたら、誰を祭る?

羽曳野市に新しく神社を建てたなら、どんな神様を祭るでしょうか?羽曳野市に関わりのある神様といえば「日本武尊(ヤマトタケル)」が思い浮かびます。古代の英雄、日本武尊は三重で非業の死を遂げ、最終的に羽曳野で白鳥となり飛び去ったと伝わっています。

日本武尊像
大鳥大社にある日本武尊像
田英 [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で

ただ、日本武尊を主祭神とする神社は少なく、大阪府下では4社しかありません。また日本武尊のご利益は、必勝、合格祈願などで、新しくできた町の神としては、選びにくかったのかもしれません。現在、羽曳ヶ丘神社には
・石切剣箭大神(イシキリツルギヤタイシン)
・饒速日命(ニニギノミコ)
の2柱が主祭神となります。饒速日命は、天磐船に乗り河内に降り立ったのち、大和に入り当地を治めています。後に東征にきた神武天皇に従い、後裔は有力豪族「物部氏」として朝廷を支えました。

河南町の磐船神社にある磐船とされる巨石
河南町の磐船神社にある磐船とされる巨石

饒速日命は、物部氏系由来の神社によく祭られています。ただ羽曳ヶ丘神社は、新しい神社なので物部氏にゆかりはありません。一方の石切剣箭大神は、かまり聞き慣れない神様ですが、東大阪市にある「石切剣箭神社」、通称「石切さん」が関連していると思われます。

石切剣箭神社
東大阪市にある石切剣箭神社/Wikipediaより

石切剣箭神社は、延喜式神名帳にも記載されている式内社で、饒速日命を祭っています。石切剣箭大神がどのような神様なのかは不明ですが、饒速日命に深く関わる神様のようです。

なぜ羽曳ヶ丘神社にこの2柱が祭られたのかはよくわかりません。ただ饒速日命は、天孫の支配が及んでいない大和を、初めて治めた天孫になります。新しく拓けた町の神様としては、意外としっくりくるのかもしれません。

現在の羽曳ヶ丘神社

羽曳ヶ丘神社は、羽曳野ネオポリスにある羽曳ヶ丘西南公園の一角に存在します。境内は大きくありませんが、清潔感が保たれた綺麗な神社です。

公園内にある羽曳ヶ丘神社

こちらが、羽曳ヶ丘神社の正面。鳥居は、入口ではなく、奥に建てられています。

羽曳が丘神社の鳥居

羽曳ヶ丘神社の社名碑。石碑に彫られた書体は神社にしては、珍しく柔らかい書体。宮司のいない神社ですが、宗教法人化しており、年に2回ほど機関誌を発行しているとのこと。

羽曳が丘神社の社名碑

比較的新しい手水舎。手水舎の色といえば、グレーが一般的ですが、こちらは少し赤みがある石を使用しています。小規模神社にある手水舎の多くは、置いているだけであまり使用されていません。しかし羽曳ヶ丘神社の手水舎はキレイなヒシャクまで置かれています。

羽曳が丘神社の手水舎

細い参道を進むと両脇にある新しい狛犬と鳥居。狛犬は、胸を張った凛々しい姿をしています。

羽曳が丘神社の狛犬

鳥居をくぐり、右側にある祠には「羽曳ヶ丘地主神」が祭られています。木のオブジェを祭る一風変わった神様ですが、あるサイトによると、かつて羽曳ヶ丘神社の横にあった池から小学生が拾ってきたものだそうです。子供ながらに神秘性を感じ神社に置いたものが、いつの間にか神様として祭られたとのこと。

羽曳が丘神社にある羽曳ヶ丘地主神2
羽曳が丘神社にある羽曳ヶ丘地主神1

羽曳ヶ丘地主神の隣には「大地主大神」を祭る祠。石で造られた小さな祠で、地元を守る神様と思われます。

羽曳が丘神社にある大地主大神

こちらが羽曳ヶ丘神社の本殿。拝殿はありませんが、本殿には屋根がありしっかりとした造りになっています。本殿左側にはもう一つ通路があり、鳥居も存在します。

羽曳が丘神社の本殿1
羽曳が丘神社の本殿2

本殿には「石切剣箭大神・饒速日命 合祀」と記されています。饒速日命だけではなく、石切剣箭大神として新たな神を合祀としたのは、どのような理由があるのか、気になるところです。

羽曳が丘神社の本殿にある神様の名前

境内の側面には達磨(?)が描かれているなど、地域に親しまれていると感じる神社でした。

羽曳が丘神社の側面絵

羽曳ヶ丘神社データ

神社名羽曳ヶ丘神社
住所大阪府羽曳野市羽曳が丘西1丁目2−55
祭神石切剣箭大神、饒速日命
摂社大地主大神、羽曳ヶ丘地主神
旧社格なし
式内社なし
参考資料

アクセスと駐車場

・公共交通機関
近鉄南大阪線「藤井寺駅」下車。近鉄バス駅南口のりばより「羽曳が丘八丁目停留所」下車後徒歩約4分。

・自動車
羽曳ヶ丘神社には駐車場はありません。また、周辺にコインパーキングはありません。徒歩10分ほどの場所に「道の駅しらとりの郷羽曳野」があるので、ここから徒歩がオススメです。

周辺スポット

・徳楽山古墳の横口式石槨
羽曳ヶ丘神社より徒歩20分ほどの場所にある石槨。開発前の羽曳野丘陵にあった古墳の石室で、現在は四天王寺大学の駐車場脇に移設されています。

・日吉神社(蔵之内)
羽曳ヶ丘神社より徒歩15分ほどの場所にある神社。羽曳野市に4社ある日吉神社の一つ。

・西浦日吉神社(西浦)
羽曳ヶ丘神社より徒歩20分ほどの場所にある神社。羽曳野市に4社ある日吉神社の一つ。

利雁神社
羽曳ヶ丘神社より徒歩25分ほどの場所にある神社。延喜式神名帳にも記載された、式内社として知られています。


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