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赤面山古墳|高速の高架下に保存された珍しい古墳~藤井寺市・百舌鳥古市古墳群~

赤面山古墳

南河内の古墳を紹介する「ぶら古墳シリーズ」。今回は、藤井寺市古室にある「赤面山古墳」です。百舌鳥古市古墳群の一つですが世界遺産文化には含まれていません。赤面山古墳は、西名阪自動車道路の高架下に存在する珍しい古墳。戦後の開発により多くの古墳が消滅する中、保存された数少ない古墳として知られています。一体、どのような姿で保存されているのか?今回は、藤井寺市古室にある「赤面山古墳」を紹介します。

赤面山古墳とは

赤面山古墳は、一辺15m、高さ2mの方墳。4世紀後半~5世紀初頭に築造されたとされ、古市古墳群の中でも初期の古墳になります。現在は、一辺15m程の規模ですが、元々は20m以上の古墳だったとのこと。埋葬施設、被葬者などはわかっていません。

方墳

2016年の調査により、円筒埴輪の他、盾、甲冑、衣蓋埴輪などの形象埴輪が出土しています。南に隣接する大鳥塚古墳の埴輪と作り方が同じであることから、大鳥塚古墳の陪塚と考えられています。

大鳥塚古墳
大鳥塚古墳

大鳥塚古墳は「主」であり赤面山古墳が「従」の関係であることから、赤面山古墳の被葬者は大鳥塚古墳の被葬者に仕えていた人物と考えられています。仁徳天皇陵が築造された時に陪塚の数は頂点を迎えますが、赤面山古墳の時代はそこまで多くの陪塚は築かれていません。赤面山古墳は陪塚が築き始める初期段階にあったようです。

大山古墳(仁徳天皇陵)
大山古墳(仁徳天皇陵)

1956年(昭和31)年に国史跡に指定。昭和40年代に、松原と天理を結ぶ西名阪自動車道路の建設がスタート。赤面山古墳のある国府台地は古墳が密集する場所であり、ここを通過しようとすると、どうしても古墳を横切る必要がありました。

その限られたルート上に赤面山古墳は存在していました。しかし、赤面山古墳は高速道路建設より前に国史跡に登録されていたため、保存されながら道路を建設されたようです。

現在の赤面山古墳

赤面山古墳のある国府台地は、仲津山古墳や誉田御廟山古墳など、多くの古墳が存在する古市古墳群のメインエリアとして知られています。国府台地の中央部には、大鳥塚古墳と古室山古墳という中規模の前方後円墳がし、両古墳の間を西名阪自動車道路が横切っています。赤面山古墳は、この西名阪自動車道路の高架下に存在します。

赤面山古墳

赤面山古墳の北側は高架の影にはいり、土がむき出しになっています。南側は陽が当たるため草が生い茂るという奇妙な外観。

赤面山古墳

案内板もないので、古墳に興味がない人はこの土の塊が古墳と気づく人は少ないでしょう。「文化財保護委員会」と刻まれた小さな石碑が、古墳とわかる目印です。

赤面山古墳

赤面山古墳の保存状態がユニークな点は2つあります。1つは、赤面山古墳を避けて高速道路を建設するために、道路の橋脚を1本減らしていることです。橋脚がないと強度が落ちてしまうため、赤面山古墳の上部はアーチ状のコンクリートで補強しています。見た目ではわかりにくいですが、古墳維持のために多額のコストがかかっているのですね。

赤面山古墳

2つ目は、高架の下道も古墳にあわせて道を曲げているところです。赤面山古墳が高架下にスッポリ収まっていれば、問題なかったのですが、微妙に高架下に収まらなかったために、下道も古墳の曲線に合わせてカーブがつけられています。

知らない人がみると、なぜこの部分だけ不自然にカーブしているのか疑問に思うかもしれません。

赤面山古墳
赤面山古墳

ただ、高速道路建設から保護されたという経緯や、風変わりな保存状態から、古墳ファンには人気の高い古墳となっています。しかし保護されたとは言え、古墳の真上を四六時中車が走るのは、被葬者にとっては少し騒々しい毎日かもしれませんね。

赤面山古墳データ

古墳名赤面山古墳
住所大阪府藤井寺市古室2丁目
墳形方墳
一辺15m
高さ2m
築造時期4世紀末~5世紀初頭
被葬者不明
埋葬施設不明
出土物
参考資料・古市古墳群をあるく【久世仁士】
・藤井寺市ホームページ

アクセスと駐車場

・公共交通期間
近鉄南大阪線「土師ノ里駅」下車。駅の前を南北に走る、外環状旧170号線を南に歩きます。5分ほど歩くき、西名阪自動車と交差するところで西に歩きます。3分ほど歩くと古室山古墳が見えてくるので、その南側に赤面山古墳が存在します。

・自動車
赤面山古墳の周辺に駐車場はありません。土師ノ里駅周辺のコインパーキングに車をとめて、駅前にある「もずふるレンタサイクル」を利用すれば効率よく多くの古墳を巡れると思います。

周辺スポット

・大鳥塚古墳
赤面山古墳に隣接する、赤面山古墳の主墳。古市古墳群になかでも中に入ることができる数少ない前方後円墳です。

・古室山古墳
同じく赤面山古墳に隣接する前方後円墳。赤面山古墳よりも少し前に築造されたとされる前方後円墳。こちらも中に入ることができ、墳頂からは藤井寺市が一望できます。

・応神天皇陵/誉田御廟山古墳
赤面山古墳から徒歩3分程の場所にある古墳。応神天皇が祭られているとされる古墳で、全国2位の規模を誇る巨大前方後円墳。

仲姫命陵/仲津山古墳
赤面山古墳から徒歩3分程の場所にある古墳。応神天皇の皇妃であり、仁徳天皇の母である仲姫命の陵とされています。全国9位、藤井寺市内で最大規模を誇る巨大前方後円墳。

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