南河内の古墳を紹介する「ぶら古墳シリーズ」。今回は、藤井寺市青山にある「浄元寺山古墳」です。百舌鳥・古市古墳群の一つで、世界文化遺産「27」に登録されています。(2020年12月更新)
古市古墳群の中でもマイナーな浄元寺山古墳ですが、実は全国でも最大級の方墳であることは、あまり知られていません。実際の浄元寺山古墳はどれほど巨大な方墳なのか?今回は、藤井寺市青山にある「浄元寺山古墳」を紹介します。
浄元寺山古墳とは
浄元寺山古墳は、1辺67m、高さ9.7mの古墳で、古市古墳群では3番目に大きな方墳。築造時期は5世紀中頃とされ、隣接する墓山古墳に近い時期に築造されています。
墳丘は二段築成で、表面には葺石が施されていました。周囲には堀が存在しましたが、現在は埋没保存されています。墳丘から、円筒埴輪と朝顔形埴輪が出土していますが、埋葬施設などはわかっていません。
浄元寺山古墳は、隣接する墓山古墳の外堤に並行して築造されていることから、墓山古墳の陪塚と考えられています。他にも、向墓山古墳、青山古墳、野中古墳、そして消滅した西墓山古墳が墓山古墳の陪塚とされています。
西墓山古墳は、浄元寺山古墳の南側に存在しましたが、早くから墳丘は失われていました。1988年の住宅地建設にともなう発掘調査にて、大量の埋葬品が出土したことで注目を集めています。
西墓山古墳からは人が埋葬なく、大量の鉄製武器や農具が出土。この時代は鉄が貴重だったことから、墓山古墳の被葬者が権力を誇示するため、大量の鉄器を埋葬したとの説があります。一説には、西墓山古墳が浄元寺山古墳の陪塚であるともいわれていますが、真偽のほどはわかっていません。
現在の浄元寺山古墳
浄元寺古墳は住宅地が密集する中、少し開けた場所に存在します。宮内庁の管轄でもなく、国指定の史跡でもありませんが、周囲には柵があり、中に入られません。浄元寺山古墳という名前の由来は、近くにある浄元寺からきていると思われますが、詳細は不明。
陪塚とはいえ、直径67mの方墳はなかなかの迫力。正確な順位はあやふやですが、方墳において67mの規模は、全国ベスト5に入るのではないでしょうか?時代は異なりますが、用明天皇陵が63m×60mですので、その巨大さがうかがえます。
主墳と陪塚の関係について気になったのが、応神天皇陵(全長425m)の陪塚である栗塚古墳が直径43mほど。一方、墓山古墳が全長225mに対して、浄元寺古墳は67m。
応神天皇陵:栗塚古墳=10:1
墓山古墳:浄元寺古墳=3.4=1
主墳と陪塚の規模をそれぞれ比較すると、このような違いがあります。この違いは、主墳と陪塚の埋葬者との力関係が影響しているのかもしれません。
こちらが浄元寺古墳の南側にある公園。浄元寺古墳の案内板は、この公園内にあります。公園の南側は住宅地になっていますが、ここは西墓山古墳が存在した場所。現在はなんの痕跡もありませんが、近つ飛鳥博物館に出土した鉄器が展示されています。
浄元寺山古墳の南側面。多くの方墳は、円墳と見分けがつかないほど変形していますが、浄元寺山古墳は、直線がでて方墳らしい姿。まあ、道路が作られたときに真っ直ぐに削られたような気もしますが…
古墳南側の道を進むと墓地になっており、さらに先に進むと浄元寺山古墳の主墳である墓山古墳がみれます。
浄元寺山古墳の西側と北側には建物があり見ることができません。東側からは、墳丘が間近にみることができ、葺石らしきものも確認できます。
あまり目立たない古墳ですが、実際にみるとなかなか迫力を感じる古墳でした。墓山古墳の被葬者とは、どのようなつながりがあったのか気になるところです。
浄元寺山古墳データ
古墳名 | 浄元寺山古墳 |
住所 | 大阪府藤井寺市青山1丁目1−15 |
墳形 | 方墳 |
全長 | 67mm |
高さ | 9.7m |
築造時期 | 5世紀中頃 |
埋葬施設 | 不明 |
被葬者 | 不明 |
参考資料 | ・古市古墳群をあるく【久世仁士】 ・新版古市古墳群 ・案内板 |
アクセスと駐車場
・公共交通機関
近鉄南大阪線「藤井寺駅」下車。近鉄バス駅南バス乗り場より「古市駅行き」に乗り「野中停留所」下車。南に直進し、最初の信号を左折。直進し最初の十字路を右折して、少し歩いた所に浄元寺山古墳が存在します。
・自動車
墓山古墳に駐車場はありません。最寄りの駐車場は、羽曳野市役所にある有料の駐車場になります。
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