南河内の古墳を紹介する「ぶら古墳シリーズ」。今回は、河内長野市喜多町にある「烏帽子形古墳(えぼしがたこふん)」です。河内長野市には、多くの古墳が存在しましたが、現在墳丘が残る古墳は2基しかありません。烏帽子形古墳は、その現存する数少ない古墳として知られています。現代まで生き延びた、烏帽子形古墳とはどんな古墳なのか?今回は、河内長野市喜多町にある「烏帽子形古墳」を紹介します。
烏帽子形古墳とは
烏帽子形古墳の存在する烏帽子山は、金剛山から伸びる一丘陵の北端に位置します。標高182mの烏帽子形山頂には、鎌倉時代末期に楠木正成によって築城された「烏帽子形城」が存在しました。
烏帽子形古墳は、烏帽子形城の二の丸付近にあることから別名「烏帽子形山二の丸古墳」ともいわれています。烏帽子山の麓には、古くから紀伊への続く道が存在。かつて神武天皇は、この道を通り紀伊から河内を経由し、大和に向かったとの言い伝えもあります。(蟹井神社の社伝より)
この道沿いには、三日市古墳群や大日寺古墳など、終末古墳がいくつも存在しました。烏帽子形古墳の被葬者も一帯を本拠地とした豪族の墓と思われます。
烏帽子形古墳は、直径17m、高さ3mの円墳で、6世紀後半~7世紀に築造されたと考えられています。
詳しい発掘調査は行われていませんが、昭和初期に一般人により無断で発掘されたとのこと。その時の状況から、烏帽子山古墳の埋葬施設は、横穴式石室といわれています。
また、周辺から葺石や埴輪も確認されていないことから、終末古墳と考えられます。烏帽子形古墳の外観は、墳頂が少し削平され、封土も一部流出。しかし全体としては良好な状態で保存されているようです。
烏帽子形古墳へ行ってきました
烏帽子形古墳へは、烏帽子形公園から向かうルートと烏帽子形八幡神社から向かうルートがあります。
距離的には、烏帽子形公園からのルートが少し距離がありますが、烏帽子形山がそんなに大きくないのであまり気にする必要もありません。今回は、烏帽子形八幡神社へ参拝したついでに寄ってみることにしました。社務所の脇から山道に入り、烏帽子形古墳のある「古墳広場」を目指します。
烏帽子形八幡神社から5分ほどで古墳広場に到着。普段だれも来ないのか、夏場は草が生い茂っています。
展望台もありますが、草木が覆い繁っており、眺望はあまり良くなさそうです。
烏帽子形古墳を探してみますが、多分こちらと思われます。
「THE茂み」
少し奥にも入ってみましたが、ひたすら茂みなので断念。
幸いなことに案内板が置かれているので、概略がわかるのは嬉しいですね。
築造時は茂みもなく、眺望も素晴らしかったのではないでしょうか?被葬者は、小高い山の上から自らの支配地を見守っていたのかもしれません。
まとめ
今回は、河内長野市に現存する数少ない古墳「烏帽子形古墳」を紹介しました。現存は、茂みに覆われていますが、昭和初期の写真を見るときれいに刈り込まれた姿をしていました。烏帽子形山には、この古墳しかありませんが、これ1基というのも不自然な気もします。もしかすると烏帽子形城築城の際に、破壊されたりしているのかもしれません。
烏帽子形古墳データ
古墳名 | 烏帽子形古墳 |
住所 | 河内長野市喜多町 |
墳形 | 円墳 |
直径 | 17m |
高さ | 3m |
築造時期 | 6世紀後半~7世紀 |
被葬者 | 不明 |
埋葬施設 | 横穴式石室(推定) |
出土物 | |
参考資料 | 河内長野市史 |
アクセスと駐車場
・公共交通機関
南海高野線もしくは近鉄長野線「河内長野駅」下車。駅前より三日市駅方面行きの南海バスに乗車。「郵便局前停留所」にて下車し、西に歩いていくと烏帽子形神社があります。烏帽子形神社への階段を上り、境内についたら右に曲がると山道があります。道に沿って山を登ると古墳広場という看板があるので、そこを目指すと烏帽子形古墳が存在します。
・自動車
烏帽子山公園に無料の駐車場が存在します。大阪狭山市方面から、国道310号線を南に進みます。上田町北交差点を西に曲がり、道なりに少し走ると、右側に「烏帽子形城跡」という看板があるので、そこを右折すると、烏帽子形公園の駐車場があります。
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