南河内に関する書籍を紹介する「南河内ブックレビュー」。第3弾は歴史学者である、門脇禎二氏と考古学者である水野正好氏編集の「河内飛鳥 (古代を考える)」です。
羽曳野市から太子町を通る竹内街道沿いは渡来人の文化が花開いた「河内飛鳥」や「近つ飛鳥」と言う名で知られています。本書は9名の専門家たちが考古、歴史、文学などの分野から「河内飛鳥」を解説しています。
天皇陵の記事を書いていると、天皇の系譜や時代背景などを知る必要があります。専門的な分野から、時系列的に古墳時代について解説した本を読んでおきたいとおもったのが、この本を読んだキッカケでした。
本書では、河内飛鳥の概要、古市古墳群、河内飛鳥と渡来人の関係、王陵の谷など、古墳時代の南河内に関する記述が豊富で非常に読み応えがありました。当時の南河内は大和朝廷の玄関口として日本国内だけでなく世界に対しても人、物の交流が盛んであったことを知ることができます。
個人的には「神武天皇~仲哀天皇」「応神天皇~武烈天皇」「継体天皇~」でそれぞれ王朝が変わったのではないかと言う説や、飛鳥戸氏の由来と役割の項は非常に興味深く感じました。
大変に参考になった「河内飛鳥 (古代を考える)」ですが、気になる点があるとすれば多少の予備知識がないと少し難しいところです。
名前と場所などを把握していないと、どこの場所について述べられているのか一々確認をしながら読み進めなければなりません。
本書には河内以外の古墳についても書かれています。馴染みがないエリアの古墳については場所と名前が頭の中で一致せず少し詰まりながら読むことになりました。(もちろん南河内についてもわからないところは沢山ありましたが・・・・)
予備知識を持って、近畿全般の古墳と古代寺院の名前と立地が頭に入っていれば非常に理解度も早く、スムーズに読むことができると思います。
飛鳥と言えば、奈良県の飛鳥ばかりが注目されがちですが、本書を読むと南河内の飛鳥もそれに負けないぐらい魅力のある場所と実感できるのではないでしょうか。