南河内の古墳を紹介する「ぶら古墳シリーズ」。今回は、藤井寺市にある「古室山古墳」です。百舌鳥古市古墳群の一つで世界遺産リスト「31」に登録されています。
古室山古墳とは
古室山古墳は墳長110m、高さ12.3mの4世紀後半に築造された前方後円墳。1956年に国の史跡に指定されていますが、中に入ることはできます。元々周濠を有していましたが、現在は埋め立てられて住宅地となっています。
古墳からは葺石、円筒埴輪、形象埴輪などが見つかっていますが、埋葬施設についてはよくわかっていません。ただ、後円部の頂上から板状の石材が見られる事から、竪穴式石槨ではないかと考えられています。
古市古墳群の中では初期の古墳で、津堂城山古墳と同時期に築造されたと考えられています。津堂城山古墳は河内に築造された最初の大王級の墓であり200mを超える規模を持ちます。対して古室山古墳は150mと、津堂城山古墳に比べると一回り小さな規模になります。当時は身分により古墳の規模や墳形が決定されたと考えられています。この規模の違いは埋葬者の力関係を表しているのかもしれません。
現在の古室山古墳
古室山は周辺の開発により、かなり変形しています。また、墳丘内には家まで建っており、街中にある古市古墳群の中でも特に異色の古墳です。市により公園化が進められ、現在の姿がなんとか維持されているようです。
古室山古墳は藤井寺市と羽曳野市にまたがる国府台地に存在します。墳丘にはあまり大きな木がなく、登ると藤井寺市が一望できる素敵なスポット。周囲には芝状に緑が広がり憩いの場としても親しまれています。また、梅、桜、紅葉が美しく四季折々の景色を楽しめます。
堺にある百舌鳥古墳群で中に入る事が可能な前方後円墳は1基しかありません。しかし古市古墳群で中に入る事が可能な前方後円墳は「鉢塚古墳」「野中宮山古墳」「大鳥塚古墳」「津堂城山古墳」、そして「古室山古墳」の5基も存在します。古室山古墳は実際に前方後円墳の雰囲気を味わえる貴重な古墳と言えます。
古室山古墳データ
古墳名 | 古室山古墳 |
住所 | 大阪府藤井寺市古室2丁目3−45 |
墳形 | 前方後円墳 |
一辺 | 110m |
高さ | 12.3m |
築造時期 | 4世紀後半 |
埋葬施設 | 竪穴式石槨(推定) |
被葬者 | 不明 |
参考資料 | ・古市古墳群をあるく【久世仁士】 ・古市古墳群を歩く 【古市古墳群世界文化遺産登録推進連絡会議】 ・案内板 ・藤井寺市ホームページ |
アクセスと周辺スポット
近鉄南大阪線「土師ノ里駅」もしくは「道明寺駅」より徒歩約15分の場所にあります。