南河内の古墳を紹介する「ぶら古墳シリーズ」。今回は、藤井寺市にある「仲姫命陵(仲津山古墳)」です。百舌鳥古市古墳群の一つで世界遺産リスト「26」に登録されています。
仲姫命陵(仲津山古墳)とは
仲姫命陵は墳長290m、高さ26.2mの前方後円墳で、5世紀前半に築造されたとされる前方後円墳。古墳の規模は全国で9位、百舌鳥古市古墳群内で5位、藤井寺市で1位。出土した埴輪から津堂城山古墳、古室山古墳に次いで古く、古市古墳群の中で初期に築造されたと考えられています。宮内庁より応神天皇の妃である「仲姫命」に比定。
仲姫命陵には空濠が存在します。しかし、羽曳野市と藤井寺市にまたがる国府台地の一番高い場所に存在するため、築造当時から濠に水はなかったと考えられています。
古墳内には石棺の存在や、勾玉が出土したとの言い伝えがありますが、埋葬施設など詳細はわかっていません。仲姫命陵の南側に、3基の古墳からなる、通称「三ツ塚古墳」が陪塚とされています。
八島塚は「仲姫皇后陵ろ号陪冢」、中山塚は「仲姫皇后陵い号陪冢」とされ宮内庁が管理しています。しかし、助太山古墳は国の史跡に指定されているだけで、宮内庁の管理にはなっていません。
仲姫命陵の周辺には「松川塚古墳」や「鍋塚古墳」が存在しますが、陪塚関係にあるかはわかっていません。
仲姫命とは
仲姫命は応神天皇の妃で、仁徳天皇の母親になります。仲姫命自身も天皇家に連なる一族で、第12代景行天皇の孫にあたります。
先代の仲哀天皇から応神天皇にかけての皇位継承については、不自然な点があります。その為、大和を主とする豪族連合から、河内を主とする豪族連合に変わったという説、別の王朝に代わられた王朝交代説などが存在します。
応神天皇が景行天皇系統の一族を妃に迎えているのは、皇位継承の正統性をアピールする狙いがあったのかもしれません。応神天皇は仲姫命以外にも仲姫命の姉妹を妃とし、天皇家の血縁にかなり気を使っているようです。
現在の仲姫命陵(仲津山古墳)
宮内庁が管理しているため、古墳内に入ることはできません。駅からすぐ近くにあり、住宅地に囲まれています。堤の周りには細い歩道があるため、前方部の一部は行き止まりになっていますが、ほぼ全体を見ることができます。
古市古墳群の天皇陵の中で1周できる古墳は数少ない為、貴重な古墳と言えます。周濠の堤が墳丘よりも少し高い位置になっているため、墳丘がよく見えます。墳丘は後円部側が極端に周濠の幅が狭くなっているのが特徴。
墳丘の形が崩れずに残されているために、くびれの部分もよくわかります。さすがに藤井寺で1番大きな古墳という事で迫力を感じます。
後円部から北側に堤沿いを歩くと、神社が2社存在します。藤井寺市内には江戸時代に創建された八幡神社が5社あり、そのうちの2社「澤田八幡神社」と「古室八幡神社」です。それぞれ澤田地区、古室地区の氏神ですが、100mも離れていません。ちょっと近すぎませんかね・・・
古室八幡神社の裏手に仲姫命陵の案内板が置かれており、ここからが一番良い眺めになります。
ちょうど古室八幡神社と仲姫命陵の間に石で作られたベンチのようなものがあります。なんとなく、埋葬施設に使われる石材にも見えますが、どうなんでしょうか・・・・
ちなみに、「澤田八幡神社」の方は境内の中を電車が通過するという風変わりな神社として知られています。遥拝所は後円部側に存在しますが、住宅地の中の細い道の先にあるため少し分かりにくい場所にあります。ほかの天皇陵と同様、綺麗に整備されており、非常に美しく保たれています。
仲姫命陵は応神天皇陵よりも前に築造されています。しかし日本書紀では、応神天皇が亡くなり仁徳天皇が即位した際に仲姫命を皇太后としています。つまり、仲姫命陵は応神天皇陵よりも古いにもかかわらず、仲姫命は応神天皇よりも長生きしています。そう考えると、仲姫命陵に実際に仲津姫命が祭られているかについては少し疑問が出てくる所です。
アクセスと周辺スポット
・公共交通機関
近鉄南大阪線「土師ノ里駅」下車。駅の西を通る、外環状旧170号線を南に歩きます。「道明寺交差点」の少し手前にある路地を右折し直進。少し歩くと、「八島塚古墳」「中山塚古墳」「助太山古墳」が続きます。助太山古墳を過ぎると交差点にでるので、そこを右に曲がり直進。少し歩くと、仲姫命陵の遥拝所が見えてきます。
・自動車
仲姫命陵に駐車スペースはありません。土師ノ里駅周辺のコインパーキングから徒歩がオススメです。
周辺スポット
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仲姫命陵(仲津山古墳)データ
古墳名 | 仲津山古墳 |
宮内庁 | 仲津山陵 (なかつやまのみささぎ) |
住所 | 大阪府藤井寺市沢田4丁目 |
墳形 | 前方後円墳 |
直径 | 290m |
高さ | 26.2m |
築造時期 | 5世紀前半 |
被葬者 | 仲姫命 |
埋葬施設 | 不明 |
出土物 | |
参考資料 | 案内板 |