昔から地域を守り続ける神社を紹介する「となりの鎮守様」シリーズ。今回は、河内長野市加賀田にある「加賀田神社」です。こちらの加賀田神社は、南河内屈指の美しい本殿を有していると共に、少し変わった風習が現在まで続いています。そんな美しい本殿と少し変わった風習とはどんなものなのか?今回は、河内長野市加賀田にある「加賀田神社」を紹介します。
加賀田神社とは
詳しい創建は分かっていませんが、社伝によると、宇佐八幡宮から勧請したと伝わっています。また記録では1480年に社殿を再建したとあり、室町時代には存在していたと思われます。
加賀田神社に残る境内図によると、元々は、本殿 拝殿、経堂があり、玉垣の外には泉福寺と言う神宮寺や奥ノ坊、北ノ坊、南の坊、宮の坊、薬師堂を持つ大規模な神社でした。しかし、1595年に行われた秀吉の検地により社領を没収。無禄となった加賀田神社は多くの建物を失ってしまいます。
1703年に堺に住んでいた加賀田神社の氏子「谷善右衛門」が、私財を投じて社殿を改修。しかし1853年に火災で拝殿、薬師堂、中門、玉垣が焼失。1858年に再建され現在の社殿となります。
1908年に周辺の神社から誉田別命、素盞嗚命、淤加美神、菅原道真が合祀。本殿は三間社流造で河内長野市指定文化財に指定されています。
今も残る座衆
加賀田神社の氏子の中には神社の祭典を取り仕切る「座衆」という組織が存在します。座衆は代々血統を重んじ、男性相続と決められている風習。もし、男子がいない場合は座衆になる権利「座株」が失われてしまいます。
座衆の記録は1648年から存在。座株のある家柄の男子は17歳になると烏帽子を着用し、公式名に改名。座衆の立会いの下、座入りするという習わしと言われています。
加賀田神社のオコナイ
加賀田神社では350年近く続いている「加賀田神社のオコナイ」があります。もとは正月8日に行われていましたが、現在では正月3日に行われています。加賀田神社のオコナイは、仏像の形をした誉田別命(応神天皇)、足仲彦命(仲哀天皇)、息長足姫命(神功皇后)を祭る祭事の後に行われます。
加賀田川を境に東座と西座に分かれて着座し、特別に作った鏡餅を転がします。60㎝のうるしの木で作られた「ゴン杖」で叩いて相手方に転がし、五穀豊穣、無病息災等を祈願。もとは仏教行事である「修正会」とも呼ばれていましたが、加賀田神社のオコナイは仏事と神事が混ざる不思議な風習となっています。
現在の加賀田神社
加賀田神社は小高い山の上に存在。加賀田神社へ至る道は、歩道が2ヶ所、車が通れる道が1ヶ所あります。境内に駐車場はありますが、至る道は少し狭いため多少気合いが必要です。
北側の参道を登った先には、少し変わった絵馬が現れます。台座に神馬像はよくありますが、台座に巨大な絵馬は少し珍しいパターン。
長い参道を歩いていると右手に庭園と赤い小さな休憩所存在。庭園内には入れませんが、なにか特別な日に公開されるのでしょうか?
庭園から先に進むと、拝殿が一段高い場所に見えてきます。拝殿内には2014年からの本殿保存修理工事中に発見された「桜井の別れ」絵馬が展示されています。
本殿は拝殿よりもさらに1段高い場所にあり、階段を登ると本殿が現れます。
本殿の左には菅原道真、右には恵比寿神と大歳神を祭る摂社が建てられています。
こちらが美しく再現された本殿。この本殿にはエメラルドグリーンなど鮮やかな色彩が使用されている珍しい神社との事。
本殿の正面、裏面、側面には馬、草木、神様など様々な装飾絵画が描かれています。
1703年に再建された本殿は、長年の風雨にさらされ非常に傷んでいました。そこで、2016年から天野山文化遺産研究所と協力のもと修復し、2018年に完成。これより明治時代に描かれた色鮮やかな装飾絵画が現代に再現されています。
本殿の裏手には「山の神」を祭ると言う小さな祠があります。加賀田神社後背にある山には「婦人の横向きに座って見える自然石」が存在していました。時代は不明ですが、この自然石は「山の女神像」として加賀田神社で祭られるようになったそうです。
特に女性から「所願成就」「家内安全」を願う参拝者が多く、2011年に祠を修復し、新たに社殿を構えたと言うことです。「婦人の横向きに座って見える」かどうかは実際に参拝してご判断を…
加賀田神社データ
神社名 | 加賀田神社 |
住所 | 大阪府河内長野市加賀田135 |
祭神 | 誉田別命(応神天皇)・足仲彦命(仲哀天皇)・息長足姫命(神宮皇后)・素盞嗚命・淤加美神 |
摂社 | 本殿右(恵比寿神と大歳神)・本殿左(菅原道真) |
旧社格 | 村社 |
式内社 | なし |
祭礼 | 1月10日・戎祭 3月・天神祭 |
参考資料 | ・加賀田神社HP ・河内長野市観光協会HP ・大阪府神社名鑑 |
アクセスと駐車場
公共交通機関
・南海高野線「三日市町駅」下車。南海バス「南青葉台行き」にて北青葉台下車、徒歩約8分。
・近鉄長野線「河内長野駅」下車。南海バス「南青葉台行き」にて北青葉台下車、徒歩約8分。
自動車
境内に駐車場有。
国道170号線(外環状線)経由の場合
上原町交差点を橋本方面(371号線)に入る。4km先の尾崎交差点を右折、指示に従い約500m先。
和歌山方面の場合
371号線で美加の台駅通過後800m先の尾崎交差点を左折。
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