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深居神社|実は古墳の上に建つ神社?~松原市~

深居神社

昔から地域を守り続ける神社を紹介する「となりの鎮守様」シリーズ。今回は、松原市小川にある「深居神社」です。深居神社ですが調べてみると実は、古墳の上に建てられているのかもしれないという説があります。実際にはどのような場所に建てられているのか?今回は松原市小川にある「深居神社」を紹介します。

深居神社の歴史

717年に創建されたとありますが、それ以外のことはよく分かっていません。創建されたとされる7世紀前半は、元正天皇の治世で藤原不比等などが活躍した時代になります。

深居神社の西を流れる東除川には、かつて「小川の戸堰」と呼ばれる堰が存在しました。小川では、この堰を利用して東除川から池に水を引き、農耕に利用。深居神社の南にある、古池・西池・東池(通称三つ池)は、その溜池の一つと言われています。

東除川
東除川

境内の隣の広場もかつて「屋後池」という池でした。また、深居神社の建つ地名は「小川」です。深居神社の「居」は井戸の「井」の字が転じたものとの説もあり、創建には「水」が深く関わっているのかもしれません。

深居神社

小川一帯は水利に恵まれており、昔から多くの人が暮らしていました。深居神社周辺には、小川遺跡、津堂遺跡、屋後遺跡など、弥生時代から中世までの遺跡が存在しています。

現在の深居神社は小川の氏神ですが、鎌倉時代末期までは、津堂・若林・大堀・川辺・小川地区を束ねる氏神でした。深居神社が存在する小川は、水利を押さえたことにより人口が増加し、深居神社だけではカバーできなくなったのかも知れません。

現在の深居神社

深居神社

敷地は広いですが大半は広場と公園で、深居神社はその片隅に存在しています。かつては、津堂・若林・大堀・川辺・小川の5地区の氏神ということでしたが、現在は小さな神社になっています。

味のある案内板と古市街道

参道の入口にある案内板。史跡の案内板は、市町村ごとにある程度決まったフォーマットがあります。しかし松原市はバライティ豊かで、市や松原ライオンズクラブが作成したものなど様々です。

深居神社

深居神社の案内板は、松原市史編纂室による手書風の案内板。編纂室の「纂」の字が手書きでは潰れる為か、平仮名になっています。難しい漢字なので読みやすくしてるだけかも知れませんが…キチッとした書体の多い案内板の中、これも味があっていいかもしれません。

案内板の隣にある「古市街道」と書かれた看板。古市街道は、大阪の平野で奈良街道から別れ、松原市若林、小川を抜け南下する道のようです。この街道は、藤井寺市小山で長尾街道と、羽曳野市古市で竹内街道と東高野街道に接続。

深居神社

古市街道沿いには、伊勢灯篭が1基我残されており、伊勢詣に向かう人にも利用されていたようです。

歯神さま

深居神社参道の東側には、小さな石が祭られています。この石は「歯神さん」と呼ばれる立石。可愛いサイズの一石五輪塔が2基と共に祭られており、歯痛が治るとして信仰されています。

深居神社

広場に小さな石がポツンと置かれており、一人でお参りしている姿は少しシュールかもしれません。

深居神社

境内へ

参道に入ると、比較的新しい石造りの鳥居があります。扁額には「八幡宮」と刻まれており、深居神社が応神天皇を祭る神社であることがわかります。(八幡宮=応神天皇を祭る神社)

深居神社

参道を進むと、2本の石柱が建つ「注連柱(しめばしら)」が見えてきます。適度な緑に囲まれ、右側には広場がひろがるこの参道は、コンパクトながらも開放感があり、気持ちよく参拝できます。

深居神社
深居神社

さらに進むと屋根があり、立派な石の水盤がある手水舎みえます。味のある水盤ですが、水の出る所が水道の蛇口という、中々のコントラスト。

深居神社

拝殿手前の狛犬。左の狛犬には白の、右の狛犬には赤の前掛けがかけられています。前掛けを付けた狛犬もあまり見かけませんが、左右で違う色にしているのは、どんな意味があるのか気になるところです。

深居神社
深居神社

拝殿と本殿

深居神社の祭神は品陀別命。すなわち応神天皇になります。元々、津堂・若林・大堀・川辺・小川の氏神だったことから、各地区の氏神となった若林神社・大堀八幡宮・津堂八幡宮・川辺八幡宮(平野区)も品陀別命を祭っています。こちらの拝殿から、1792年の棟札(むなふだ)が残されており、少なくとも1792年には存在していたようです。

深居神社

裏手には、柵に囲まれて本殿と摂社が建っています。建築様式は「一間社流造りのこけら葺」。本殿から、1660年の棟札が見つかっています。

深居神社

実際に拝殿、本殿がいつ創建されたかは不明ですが、南北朝時代から戦国時代にかけて、この一帯では、度々激しい合戦が繰り広げられています。江戸時代以前の記録が残っていない事からも、建物は江戸時代以降に再建されたのかもしれません。

深居神社は古墳に建つ?

深居神社ですが、実は「古墳の上に建っているのでは」という説があります。深居神社の北西にある屋後遺跡から、5世紀後半の円筒埴輪が出土。また、深居神社の境内からは、完全な2個の須恵器が出土しています。

深居神社

詳しい調査が行われていないのでわかりませんが、本殿が建つ場所が、古墳の墳丘ではないかとも言われています。ただし墳丘のような盛り上がりは見えず、古墳であったとしても殆ど平削されているようです。

深居神社データ

神社名深居神社
住所大阪府松原市小川5丁目26
祭神品陀別命(応神天皇)
摂社稲荷社(?)
旧社格不明
式内社なし
祭礼10月 秋祭り
参考資料・松原の神社
・松原市ホームページ

アクセス

近鉄南大阪線「恵我ノ荘駅」から北へ徒歩約30分。深居神社に駐車場はありません。

周辺スポット

厳嶋神社
こちらは間違いなく古墳の上に建てられた神社です。かつては一津屋城という城も築城されていました。

・若林神社
深居神社から徒歩5分ほどの場所にある神社。深居神社より八幡神を勧請して創建されたといわれています。

・大堀八幡神社
深居神社から徒歩10分ほどの場所にある神社。大堀地区の氏神で、品陀別命(応神天皇)を祭ります。平成27年に移転し、新しく造り直されています。

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