昔から地域を守り続ける神社を紹介する「となりの鎮守様」シリーズ。第18回は河内長野市にある「長野神社」です。長野神社はかつて「木屋堂の宮(こやどのみや)」と呼ばれていたようですが、これにはどのような意味があるのか?今回は、長野神社で行われる二つの行事と共に、「長野神社」を紹介します。
長野神社とは
長野神社の詳しいについて創建は、よくわかっていません。この地は天見川や石川が交差する場所で、古くから水上交通の要所として栄えていました。かつて長野郷には25の鎮守があり、長野神社はその一つといわれています。
正徳年間まで長野神社は「木屋堂の宮(こやどのみや)」「牛頭天王宮」と称されていました。その後、1868年に「長野神社」に改称されて現在に至ります。「こやど」とは、木材の収集場所を意味します。この地に山林から伐採した木材を集め、各地に送り出していたと考えられています。
木屋堂という名称は、1313年の後宇多院御幸記、1333年の粉河寺文書、1399年の日野観音寺大般若経奥書などに登場しています。1313年頃は、鎌倉幕府最後の得宗「北条高時」の時代であり、長野神社は鎌倉時代末期には創建されていたと思われます。
長野神社では、毎年10月11日に「タイマツタテ神事」が行われます。この神事は別名「松明祭(たいまつまつり)」とも呼ばれ、祭の一週間前に氏子達が境内に集まり、高さ5m、胴回り約4.5mの大松明を作ります。祭り当日は、松明に火をいれ、豪快に燃える姿をみることができます。
この祭りの由来は、闇夜に火を灯して木屋堂に牛頭天王を勧請したこととされています。1701年には祭りの記録があり、300年以上にわたって行われています。
現在の長野神社
長野神社は、河内長野駅からほど近い場所に存在します。入口は東西にありますが、正面は西側のようです。長野神社は東西の高野街道が合流する地点で、周辺には灯篭や石碑が数多く存在します。
こちらの記念碑は、河内長野市商工会創立50周年に建てられた石碑。神社仏閣や遺跡の多い河内長野市にちなんで梵鐘と銅鐸をイメージして作ったとのこと。
長野神社の隣には「吉年邸のクスノキ」が存在します。江戸時代における吉年家は、大庄屋であり、鋳物をあつかう大商人でもありました。こちらのクスノキは、河内長野市の指定文化財にも指定されています。
長野神社の入口。脇には、網のような物がかけられていますが、鳥除けなんでしょうか?
階段を上り、鳥居をくぐると境内が見渡せます。
入口左側にある手水舎。装飾や彫り文字のないシンプルなタイプ。
境内にあるイチョウ。この大きなイチョウは、河内長野市がミドリのシンボルとして未来に残すため、保護樹木に指定。これほど巨大なイチョウは珍しいそうで、色づく季節は美しい姿をみせるとのこと。
鳥居をくぐり、1段高い場所に複数の社殿が存在します。一番右側にあるのが「天神社」で菅原道真を祭っています。
その右隣にあるのが「熊野宮」「多賀宮」「八幡宮」「春日宮」「高良宮」をまとめて祭る「五社」になります。
「五社」の隣には長野神社の本殿が存在します。本殿は、一間社流造り。正面に千鳥破風と軒唐破風がつき、屋根は檜皮葺きとなっています。天文20年頃に創建されたとされる本殿は、1941年に国宝(現在は重要文化財)に指定されています。
天文20年頃は、戦国時代の初期にあたります。応仁の乱から戦国時代にかけての戦乱により、南河内では多くの神社仏閣が兵火により荒廃しました。長野神社の近くには、烏帽子形城が存在していました。烏帽子形城は高野街道を押さえる要衝にあるため、周辺では何度も合戦が起きています。烏帽子形城に近い長野神社も、兵火にあっていたのかもしれません。
本殿の隣にある「かやのき」。このかやのきは、幹周り4m、樹高17mの巨木で、大阪府下最大とのこと。
かやのきの左側には、事大主大神を祭る「恵比寿社」が存在します。事大主は、大国主命の息子で、国譲りにも大きく関わった神様です。
事代主は、七福神の一人である「恵比寿様」とされています。七福神のうち6柱はインドや中国の神様ですが、恵比寿様は事代主ということで唯一、日本の神様になります。長野神社では、毎年1月9、10、11日に「長野戎(えべっさん)」が開催されています。当日は、多くの屋台や福を求める人々で大いに賑わいます。
御朱印
御朱印 | 手書き |
初穂料 | 300円 |
長野神社データ
神社名 | 長野神社 |
住所 | 大阪府河内長野市長野町8-19 |
祭神 | 素盞嗚尊 |
摂社 | 恵比須社、五社(熊野宮、多賀宮、八幡宮、春日宮、高良宮)、天神社 |
旧社格 | 村社 |
式内社 | なし |
祭礼 | 1月10日(長野戎) 10月11日(タイマツタテ) |
参考資料 | ・大阪府神社名鑑 ・河内長野市観光協会ブログ |
アクセスと駐車場
・公共交通機関
近鉄長野線もしくは南海高野線「河内長野駅」下車。より徒歩約3分。
・自動車
国道170号線「原町北」を南へ曲がり国道310号線を直進。「本町(七つ辻)交差点」を西に曲がり、旧170号線を東へ直進。河内長野駅前ロータリーにある信号を南へ曲がると、長野神社に一番近いコインパーキングが存在します。
周辺スポット
・西代神社 ... 続きを見る
長野神社から徒歩約15分の場所にある神社。毎年18月に行われる西代神楽は、河内長野市の無形重要文化財に指定されています。
西代神社|西代藩と西代神楽の関係とは?【御朱印】~河内長野市・駐車場~
・檜尾山 観心寺 ... 続きを見る
長野神社から車で約10分ほどの場所にあるお寺。役行者が開基したとされるお寺で、楠木正成など南朝にゆかりがあります。
観心寺にある「日本唯一の北斗七星巡り」で厄除け開運!~河内長野市・アクセス~
・烏帽子形山公園 ... 続きを見る
長野神社から車で約10分ほどの場所にある公園。元は、烏帽子形城が築かれていた山で遺構が残されている。
烏帽子形城城主の子孫はある上場企業の創業者だった・・・~河内長野市 アクセス 駐車場~
・道の駅 奥河内くろまろの郷 ... 続きを見る
長野神社から車で約15分ほどの場所にある道の駅。特産品を販売するほか、地元野菜をいかしたレストランも人気。近くには花の文化園も存在し、四季の花が楽しめます。
「奥河内くろまろの郷」で、食べて・遊んで・体験!~アクセス 道の駅~